私には魔竜っていう種族の血が混ざってるんだって。

お友達のティアちゃんから教えてもらった。


怖くて、危なくて、避けられて、嫌われるような種族なんだって。


じゃあ、やっぱり私が家を、街を追い出されたのは当然だったんだ。
みんなは間違ってなかった。
間違ったのは私の方だったんだ。

私はもう、二度と家に帰れない。
こんな体で、こんな血で帰ることなんて、もう絶対にできない。
わかってた。
わかってたのに。
つらくて、かなしくて、くるしくて。


私のことを心配してくれるお友達がたくさん出来た。
私が何なのかを一緒になって調べてくれるって言ってくれた人たちも居る。けど。
こんなこと、絶対に教えられないよ。

だって、もう二度とあんな目を向けられたくない。
ようやくまた新しくやり直せるって、新しい友達が出来たって思ってたのに。
あの人たちが私を見て、怖がるのは耐えられない。
私からどんどん離れていくのには絶対に耐えられない。


もう忘れよう。
お父さんのこと、お母さんのこと、友達のこと。
ぜんぶぜんぶ忘れよう。


あぁ、でもだめ。
なみだが、とまんないよ。


ごめんね、みんな。ごめんね。

頭の上に洗いたてのハンカチをのせてくつろいでいる。
お湯の中で腕が一部だけきらきらと砕けては元に戻り、
漬かった洗面器の底には細かい砂がちょっとずつ洗い出されている。

どうやら要点だけは伝わっているようだ。

そういって小指を立てる隼人。

丁寧に宝石を宝石箱に戻す。
…中の宝石の煌めきが物凄い事になっている。
手入れもきちんとされているようだ。

開いたままの宝石箱を、すっと手渡した。

ちなみに名前と一緒で、おひさまの香りでした！