気を失っていた時間はそう長くなかったみたいで、
目を覚ました私は花冠さんと一緒に二人の元へ戻って。
王の手先の人……？雪女……？と雪だるまたちと戦って。

この先にはまだ人が進んだ跡は見られなかったので、私は戻ることにした。
もう一度あの場所を通るのは嫌だけど、仕方がない。
足音を立てないように走り抜けようと、して。

甘かった。
地下牢までの帰り道、何も出なかったのはラッキーだと思っていたけれど。
本当はそこで運を使い果たしただけ。

見た目だけなら可愛らしい縫いぐるみのようなかれら。

それでも、王につく彼らにとって私はエンブリオを奪いに来た敵で。
どうしてあの時に嫌な気持ちになったのか。
この場所に長くいたくないと思ったのか。
今ならわからなくもないし、それは今も変わらない。
ここで戦うのは避けたいと、走っているうちに足音が響いてしまったのか。
ちらりと振り返った追手は増えていた。
そのうち空を飛ぶ——あくま——がわずかに早い。
私の息が上がってくるのがわかる。
このままでは、
このままでは



見えた人影に
——その人も城の人かもしれないなんて考えも、回らなくて——
私はたすけて、と、叫んでいた。

少し戸惑いを見せた後、諦めたように笑って。

シセが首を傾げるのを見て、また困ったように笑う。

ニコレットは一人で勝手に盛り上がり始める。
アシルにも相談して、だの拾い集めた素材を…など
ぼそぼそともはや独り言になっている雪崩のように崩れ零れ落ちる願望の数々。

しばらくそんなことが続いた後、改まってシセに向き直り、言う。

どうやらテレパシーらしい。