βさんから渡されていた資料の内、一揆勢をまとめている者たちが一揆勢に敷いている内規のようなもの、その意味について記述のあるものがあった。


その一部——


一揆勢の参謀たちがこの一揆勢中に、反乱者が現れれば、それを取り除くために敷いている仕組みが半端な賞金首制度であるというのは、予算不足というのもそうであろうが、自分たちが精鋭揃いの一揆勢に憎まれずにしたいことがあるに違いなく、恐らく、一揆勢の中から、一揆を早期終結に貢献できそうな者の能力を促進させることを狙っているのであろう。我々にとっては基本の一つ、選択と集中ということだ。


漁夫の手として、つまり末端にいる者としては、私たちの行動が簡単に理解されるとも考えづらいとも思うのだが、おかしいのはどちらかというのは分かりきったことだ。


また昨日、私の一揆小隊のメンバーである彼女に、これから一揆勢とも戦う可能性とその理由、またどれ程の手段を用いるのかを語った。彼女は私の期待通り、覚悟のある眼差しとともに、手を差し出してくれた。まずは一安心。極端な世界の見方をしている植物女は問題が起こることが想像できない。計算で動くバルバロイのコントロールも今まで通りなら問題ない。BKBに漁夫上層の別の意図があった場合は、しくじれば、後ろから撃ち殺されるだろうか、いや、βさんごともっと別の対処をしてくるはずだろう。

手持ちの端末に通信が来ていることを示していた

いつもの調子のβさんであった。
それでも、このお陰である手を打ちやすかったことは感謝しておくことにした。

それに・・・。今の自分の体の問題もある。いつ知り合いを切ったとしてもおかしくはない。一揆軍に参加しているかぎり、そのリスクを負わなければならない。

頭を下げた後、右手を差し出すのであった。