今、気を失ってしまえたら、どれだけ楽だろう。
目覚めた時に何もかも終わってしまっていたら、どんなに安堵するだろう。
もしかするとこれは夢なのかもしれない。
ああそうだ、何もかも夢だったのかもしれない。
私は、今日目覚めたら、温かいベッドの上で、ご主人様の腕の中で目覚める。
ご主人様より早起きして朝食を作り、ご主人様を優しく揺り起こす。
そして、一緒に朝食を食べながらご主人様に言うのだ。
"こわい夢を見たんです。ご主人様が遠くへ行ってしまう夢を。"

そう、それが私の日常だ。　だからこんな悪夢は早く終わればいい。



──仔犬の思考は、既に現実から目を背け始めている。
彼女の小さな心は既にひび割れ、小さな破片を散らしている。

呼吸を忘れた肺腑は、彼女の頭に思考の源たる酸素を送り届けない。
目の前が真っ暗に変わって行く。視界の暗転と共に意識も遠のいて行く。


・・・・沈んで、行く・・・・。

意識が暗闇へと沈み切る刹那、灰色に変わった視界の中に、赤く浮かび上がった物があった。
・・・・彼女の首元に掛けられた、真っ赤な革の首輪。
彼女の主人が、彼女の居場所を保証する、"居るべき場所を示す証"。

大きく息を吸い込んだ刹那、鼻孔に懐かしい香りが流れて来る。
人間には気付けない程の僅かな香りを、仔犬の鼻が敏感に感じ取る。

──それは、主人の残り香だ。
最初にその首輪を与えられてから、毎朝欠かさず主人の手でその首輪を嵌められた。
その残り香が、微かに、しかししっかりと

・・・・・仔犬の、"居るべき場所"を示す。

虚空か地面か、何処を見つめていたのかも分からない眼の焦点が、鋭い弓のように引き絞られる。
ゆっくりと首を持ち上げ、妖精の方を見遣る。

──何の表情も無かった。
怒りも、悲しみも、恐怖も、全てを使い果たしたかのように。
最早涙さえも溢れてこない。一滴の感慨さえも湧いてはこない。
そのボロボロの心で、尚も。

生きて、主人の元へと帰る事を、望んだ。

目の前で、浮かんだ木の実が爆発するのを見て、そんな感想を口にします。
それほど驚いていないのは、なにが起きたかを理解できたからです。

それは自分が近づくべきではないものだと結論づけたようです。
親から受け継いだ神の知識の断片が、力というものへの諦観を生んでいるのかもしれません。

むしろその質問の方が、よりクリティカルなものだったらしく、
アムルはオウム返しに言葉を繰り返して、返事をさがすように視線をさまよわせます。

反抗期なアムルなのでした。

なんか話の流れからちょっと母親を思い出してしまって、にべもなくお断りするアムルなのでした。

サイズ差でそれほど大きくないとはいえ刃物が自分に向かって差し出されると少しどきっとしてしまう
しかし、そういうことに対する警鐘も故障しているのか逃げようともかわそうとも思えずそのままその刺突を受け入れてしまいます

自分のミスで指を切ってしまうなんてのとは全く違うもっと致命に近い痛み
後退しようとしても足はすでに動かず体内の大事な何かに冷たいものが届かんと

ここまでぐらいなら問題なく耐えられる。痛いことには違いないから顔は汗ばんではいるが
少しずつと言ってたことに期待しつつ危ないところ以外を覆っていた服を霧散させる

自重しろ未来

……でも、オレは確かに　そう　盗賊団をファミリーとして……

でも奪われる……また全て失う……

だから　狩る

あんまり表情変わってない気はするが…なんとなくわかるらしい。

めっ、としながら頬を膨らませてぷんぷんしてる。

　寒さにゃ強いが暑さにゃ弱い。暑い時期は川の中で涼をとります。

　悪いところが報いを受ける。悪戯娘には耳が痛い。
目はあんまり思い当たりませんけど、手と口は……考えない事にしましょう。

　どじなので自分が感電間違いなし。嫌な事にも優劣ってもんがあります。

　珍しく、そこそこ長く黙り込んで考えて。

　ここでまた口を噤みました。