----------ぴおにとってもっとも古い、『最近の思い出』----------
　めがさめたら、かわにながされていました。からだ、うまくうごきません？
みずのなかじゃなくて、どろのなかだったんでしょうか？　とにかく、おもい。
うんとちからをいれておみずにもぐれば、なんだかなじみます。
だんだんからだがうごくようになってきたところでねむくなりました。

　つぎにおきたら、かわのほとり。にもつよし、たいちょうよし、でもなんでここにいるんでしょう？
しばらくまわりをみてみましたが、ここ、どこかもわかりませんね。かんばんとかありません？
まわりがくらくなりましたのでひをたいて、きのうろさがしてなかでまるくなりました。
こんどはなにがなんだかわかるといいですねぇ。

　そのつぎは……ええと、みずうみ？　それとも、おうじょーのまえです？　そんなかんじです。
ぴおはおねぇちゃんをたすけるためにいっきにまじります。
それがいちばんだいじで、それだけがぴおのやるべきこと。

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　また記憶が吹っ飛びましたが。ピオはやたらと体調良く山道を進みます。知ってる人達だらけで、気も楽です。
なんだか体から重りが抜けたみたい？　歌でも歌いだしたいようなそんな感じ。

　小さな体で思いっきり伸びをして。

　バランスを崩し土に手をついて一回転。それでもピオは笑っていました。

　良くも悪くも気にしない。少女はうきうき前に進みました。

絡まりに絡まってしまっているくせっけを、一本ずつ丁寧に解くように。
無理にまっすぐ引っ張っても痛いだけで余計に絡まるだけ。時間はかかれど丁寧に。

淡い光がぴおを包み込む・・・

動作や口調でもう少し年下だと思っていた模様。
見た目よりもかなりびっくりしていた。

疑いの鎌首を上げて考え込むが、答えは出ない。
うーん、と考えてたところでピオの荒事経験についてを聞いて。
脱力しながら

認めつつも、納得はできない様子。

心配されれば、朗らかに笑って

徐々に溜まってはいるのよ、とは本人談。

　軽い苦笑いを浮かべた後、柔らかい声色で声を返します。
　

自分の能力を自慢しない彼女を微笑ましく見つめながら、ふふ、と笑みを零す。
急に近付いてくると、身体は動かさずに上半身だけ逸らして。

指でわっかを作り、メガネのようにして目に当てて見せる。
それから、首をかしげて、尋ねる。

指眼鏡を作ったまま、目をぱちぱちと。
手を顔から離すと、ふふっと、また笑う。

鉛筆を弄んでるのが気になるのかチラチラ見ながら

首を傾げながらそう言って

ショックを受けたのか項垂れながら

真っ直ぐなその姿につられたのか力の篭った声で同意するのでした。

しどろもどろになるマロウと、困惑するぴおの姿を見かねてだろうか。マロウのエンブリオ——確か、ハイゼンスレーと名乗っていた——が穏やかに、優しげな声色で口をはさむ。

そう言うと、彼女は穏やかな微笑を浮かべつつ再び口を閉ざした。
マロウは彼女の介入に困惑……というか、恥ずかしいのだろう、肩をすくめつつ、ばつが悪そうに苦笑いを浮かべていた。

そこまで言った所で、彼の前にクッキーが差し出される。

困惑顔で受け取りつつ、彼は尋ねた。

何やら慌てて弁解するが、胡散臭いことこの上ない。
後ろの方でハイゼンスレーが笑っていることから考えてみても、実験の失敗は日常茶飯事のようだ。

言葉の端端から、些かダーティな研究を想像してしまうが、彼女の様子を見る限り、おそらくよくわかっていないだけだろう。

翠は目を輝かせている。
どうやら、どんなものなのか興味はあるようだ。

確かに足の方から強く匂っているようだった。
が、翠はふと考えた。

徐々に足の方へ顔を近付けようとしておりますが、果たして…？

　看板を持って少女が立っている。

　ここは兵舎だ。良いのだろうか。