それは、……勘違いからきているものだ。
自分は一揆に参加していて、だから、それを理由に賞金稼ぎに襲われた事がある、という勘違い。
相手もまた同じ人種なのだろうと勝手な勘違いをし、叫ぶ。

声は震えて、首元にあてがわれる刃に、歯はガタガタと鳴った。

助かる選択肢。
いくつか与えられる希望。

けれどそのどれかを選ぶことも出来ずにいて。

最後、渡された、握り締められた刃は——……突き立てるべき相手が無防備に首元まで誘導した、というのに、まるで人に向ける刃物などろくに握ったことがないド素人のようにガタガタと震え。

……戦う、人間の、其れではない。

悲鳴に、近いようなその声で。——……再び、泣き叫んだ。

心配顔で、何度もミハイユの背をさする。傷病人を見るような目。
どうにかならないかと必死に考えているようだが……。

褒めてるのか未だに分からず首を傾げていると、突然の風。
何が起こったかわからなくて一瞬ポカン、と口を開けていた。

思考を巡らせているキミに気づいたのか、視線はそらさずにキョトンという擬音が似合いそうな顔を彼女はする。

少女がどういった心情にあるかは、大方わかっていた。
だが、この男はあまり興味を示していない。どこまで行ってもただ何となく、といった様子。
永遠に続く暇を潰す事さえ出来れば、何でも良いのだ。

そうしてそのまま、ろくに口を交わさぬまま宿まで付いてしまった。

〜宿の一室〜

扉を開けて少女を室内に入れた後、座る事を促す。

じとー、とセツナを見るクマのぬいぐるみ。

鬼の方も突然現れた少女を警戒しながら問いかけた

モノの言葉に嫌味はない。ただ、その言葉は「事実」を伝えている。

その時、貴方の後ろで声が聞こえた。

後ろには、子供。先ほどモノと話していた子供。