先ほど煎じた薬を手渡し、共に飲みながら、思い出していた。

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ゆらりゆらりと体重を感じさせないその身体が、こういう時に限っていつも、ひどく重そうに見えた。
ぐらりと傾ぐ背中。
踏み留まろうとするつま先が草を押し潰す。
それでも支えきれない膝がもどかしげに崩れていく。
その背を支えたくて駆け寄る。己の短い足が、こんな時はひどく悔しい。
彼の横顔には、ひどく不思議な表情が浮かんでいた。
懐かしいような、何かを思い出したような、見つけたような。
だが、その場ではそれに気づく余裕はなかった。
ただ見上げたナイトスピリットの掲げた剣、それから彼を守るべく、咄嗟に背に庇い、前に出るしか出来なかったが。
今思い出せば、その顔は——…

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彼が、己の差し出したクッキーの包みの片方を示したまま、こちらを見ていた。
急いで笑顔を作り、首をすくめた。

見せて、と手を伸ばし、首元に触れようと。

渡された薬を見て、ぐいっと一気に飲み切る。ちょう苦い。
メガネの奥の双眸をぎゅむむっと伏せて頷く。でも効きそうだ。

薬を飲んだ後はお昼寝。早く傷が癒えるようにと。
勿論、おめざのおやつは準備済みである。

それから他愛もないお喋りをして、お茶会の再開を約束をして、
数日経ったある日—

そう言って、エプロンの内ポケットから取り出したのは—
1D6 = 2 ( 2 )
1：お気に入りのアップルミント
2：北の領地のぶどうジュース
3：香りの良いカモミール
4：ブラックコーヒー
5：悪魔のスープ
6：妙な液体

　ヤドランカの様子を見て、こちらも表情を和らげる。

ヤドランカがてちてちと走ったり、段差に登るのに苦労しているところを想像してみて、くすっと笑った。かわいい。

　彼女の村の話を聞くと、少し驚いたような表情を浮かべた。

　ぽつり、とこちらも語気を落として呟いた。
　それから、苦笑気味に笑みを返した。

三度対峙する相手。じ、と無言で見つめるのみで。

怖じてしまいそうになる己の頬を、パンパンと叩いて気合を入れて、キッとナイトスピリットを睨む。