『薔薇の靴』

昔々ある島に、薔薇色の頬という召使いの娘がいた。
薔薇色の頬は見た目が他の者と違い、皆から苛められていた。
彼女が一目置かれていたのは、その美しい舞姿。
それにいたく感動した館の主人はある日、
彼女に薔薇の飾りのついた靴を授けた。
薔薇色の頬はそれをたいそう気に入ったが、
他の召使いにはますます苛められるようになった。

またある日、海を隔てた本国では大きな祭りが催された。
館の人々は出かけていき、薔薇色の頬だけが残された。
他の召使いたちが、彼女に仕事を全て押し付けた。
薔薇色の頬は一人、川で洗い物をしていると、
ふとしたことで大事な靴を汚してしまった。
彼女はそれを洗い、乾かしていると、
強い風が流れ、その片方を吹き飛ばしてしまった。

本国、チャロアイトの王子が祭りを楽しんでいるとき、
風が美しい薔薇の飾りの靴を運んできた。
風は神の使い。これは運命の出会い。
この靴の持ち主はたいそう美しいことであろう。
王子は、この靴の持ち主との結婚を望んだ。

祭りの後、チャロアイトの王子は国中を駆け回り、
薔薇の靴に合う足を捜した。
そして、ついに屋敷のある島へとたどり着いた。
薔薇色の頬は初め、恥ずかしがって隠れていたが、
とうとう最後に呼び出された。
そして、片方の薔薇の靴は持ち主の元へ戻ってきた。

美しいことで名高いチャロアイトの王の妃は、薔薇色の頬をしており、
これまた美しい薔薇の靴を履いていたそうだ。

同じように話題逸らし。

　　　　バッ

　　　　ブチィッ！！

　　　　もぐもぐ……ゴクッ

　
　　　　くるり…

　　　　ブチッブチッブチブチブチブチッ…

　　　　わさわさわさわさ…