鬱蒼と茂る森の中、紗智は一人歩みを進めていく。

やがて光が差す広間のような場所に差し掛かると
何かを守るかの様にユニコーンが立ちふさがる。
その後ろには下卑た笑いを浮かべるインプが2匹。

紗智が先手を取ってはじまった戦いは、長期戦となった。

紗智は無理をせず回復をしながら目の前の
ユニコーンにダメージを積み重ねていく。

ユニコーンがヒールを駆使して粘っている間に
後ろからのインプの攻撃で、毒を負った紗智が
じわり、じわりと弱っていく。

やがてユニコーンが倒れた頃には、
紗智の疲れは目に見える様だった。

前衛を無くした事で、本気になったインプの攻撃が
1発、また1発とダメージを積み重ねる。

受ける回数が多くなり、そこから染み入る猛毒が
紗智の力を奪っていく。

紗智が渾身の力をこめて1匹を屠るも、
残りの1匹を相手するだけの体力は残されていなかった。

自分の力の無さに歯噛みすると、肩を落として歩いていく。

何が足らなかったのか、強くなる為にはどうすれば良いのか。
堂々巡りになりそうな思考の袋小路の中で、
目線を上げたその先に見覚えのある顔を見つけた。

先日酒場で見た張り紙と同じ顔を見つけたその時、

紗智の脳裏をよぎったのはいったい何だったのだろうか。

そう告げると、紗智はその賞金首に襲い掛かった。

先に動いたのは紗智。相対する賞金首は力を貯める。

両者様子見をしながらの牽制から、賞金首が動く。
紗智はラッシュを捌きながら、長期戦へと持ち込んだ。

先に焦れたのは賞金首。
削り合いでは無理と判断したのか、それとも焦燥からか。

必殺の一撃のつもりではなった攻撃を受け止められ万事窮す。

返す刀の一撃を紗智から食らい、捨て台詞を残して崩れ落ちた。

その背中に向かって紗智は呟いた。

警邏から賞金と、賞金首の持ち物の一部を受け取ると
世間話の一環として、どうやら水辺から城内に続く道取りが見つかったらしいとの話を聞く。

その呟きに反応した少年に出会えたのはなんという幸運だろうか。
少年に連れられ、紗智は城内へと足を踏み入れるのであった。

がくがくがくがくと震えるエル達。

素敵な出来栄え、という言葉を聞いて若干照れたように
視線を彷徨わせる。落ち着かないようだ。