ここ数日の間には色々な事があった。
手引きを受け不気味な地下水路を進み、
相当の数の攻撃を受けながら敵を蹴散らす中で、
ある程度の実力が自分に備わった事を認識する。

自然と、足は数日前に苦杯を喫した大廊下へと向かっていた。

あの時は3人で挑み手も足もでなかったが、
紗智は自然と負ける気がしなかった。

後ろに下がっている少女をあっという間に倒し、
残った大理石の男性も軽くいなしてしまう。

倒れた少女を庇いながら道を譲る男性に一体何を感じたのか。

紗智の脳裏をよぎったのは何故か森の奥で見つけた研究所だった。

先を進もうとした所、紗智は見覚えのある顔を見つける。
手配書に記載のあった少女だ。

交流のある狼の男性がその相手にやられたと聞き、
出会いそうな箇所を考えていた矢先の事だった。

有無を言わさず、立会いを挑む紗智。
双方召還したエンブリオを使役しながら、闘いに臨む。

相手の必殺技を受けきった上でそれでも最後に立っていたのは紗智だった。

見たものを忘れる、という感覚を理解できないらしく、
きょとんとしている。