そうかしら？背は高くて顔も良いし、人当たりも申し分なし。それで引く手が無いなんて此処に来てる女は皆木石で出来てるのかしら？

しょうがないじゃない、からかいたくなるような行動をするのだもの

事実だもの、取り繕う必要だって無いわ

私の国の最高学府を卒業してみたものの、やりたい事は何も無く、職にも付かずにやっている事と言えば淫売の如く毎日男に股を開くだけ
何かあるだなんて真っ当に生きてる人達に申し訳なくて言えないわ

ま、そんな小難しい事は賢人にでも考えさせておけば良いわ

そう思うならそんな事を言われる前に口の一つでも塞げばいいのよ、勿論貴方の口で、ね

あの辺りなんてどうかしら？

簡単には人目には付かないと思うけれど

呱々。なぁに、天秤は平衡を保てるからこそ価値がある。
傾いたならば、逆側へ重石を載せればよいだけのこと。
出来ぬと最初から思うておってはダメじゃ。出来ると思うてもダメなことは多いが、まぁなんとかなる。

なにを謝る。云うたであろ、大したことはないと。
そなたの失われた過去が、たとえ重罪人であろうと、化物であろうとたいしたことではないのじゃ。
儂が見ておるのは、今のそなたであろ。そなたが成したいことにこそ、価値はある。

うむ、そうそう、そんな感じじゃ。なんじゃ、上手いではないか。
じゃが、うんちゃんは水の精であろ。儂はもう少し強めでも、壊れはせんよ？

……この世にはな、恐るべきナデナデマスターなる者がいるのじゃ。
其奴にかかれば如何な儂でも太刀打ちできぬ。借りてきた猫のように大人しくなるしかない。

ふむ、刃物は畏れんのに魔術には驚くのかえ？
ま。どこの異世界でも、魔術が武器より発達しておることは少ないからの。
そもそもエンブリオからして不可思議な従僕であろ。普通なら、複雑な手順を踏まねば従わせられぬ。

呵々。そなたが魔術と思うておるものは、実は科学であったのかも知れんぞ？
儂も詳しくは知らんが物知りによると、電気回路は魔力回路に、プログラムは呪文にあたるそうじゃ。
同じものなら、科学者が魔術師と名乗っておっても儂程度には区別もつかん。

ほう、馴染みやすい武具か。日用品ではないのじゃな。

……ん？　まて、鍛冶の道を志した？
それはいつの話じゃ。記憶を失ってから目指すことにしたのかや？

あっはっは！ 嘘も方便、か。必要だからつく嘘だと云うのじゃな。
ふふん。確かにそなたは人が良すぎる面があるからの、あながち虚偽とも云い切れぬ。
儂のような嘘つきよりは、みなの信頼も厚かろうて！

ああ、そういえばそんなことを云うておったな。
完全な定着とはいかんまでも、ある程度馴染んではおるように思うが、やはり危険なのかや。
そなたらも常に危険にさらされておる、ということか。ふむ、それは旨くないの。

許可がいるのか。……ああ、そなたがエンブリオ化しておるのが原因かの？
でなければ、鍛冶屋の魂がそなたらの"主"たる契約を結んでおることになるが。
不便かも知れんが、普通は出来んことを出来ておる分、やはり便利な気がせんでもない。

ほう、それは興味深い。記憶と感情は別々に分割封印されておる、と。
ならばそなたを真人間として戻すには、何処かに潜む悪人の魂を消せばよいわけじゃな？
誰の目論見かははかりかねるが、面白い状況に陥っておるのう。

ふむ、では別の槍か？
しかし話を聞いてみれば、特定の誰かが意図を込めてしでかした事ではないように聴こえるの。
そもそも、ぬしをバラバラにした相手が"槍"だとしか解らぬでは手がかりが無さすぎる。
なんぞ触れてはならん者に手を出した覚えでもあるかや？

まあ、急がば回れというかやっぱり一揆は一揆で集中して一気にやっちゃった方がいいっていう考えもアリっすかねえ

一揆なだけに！！！

む、そうッスね。確かに楽しいことばっかりじゃないッスもんねえ
手に職をつけるってワケだからそれ相応の覚悟が必要って事になるッスからねえ

もーちょっと色んなモン見てから考える方がいいッスね！軽い気持ちで弟子入りなんてしたらみんなに迷惑になっちゃうワケだし！

さあ、始めましょうか

さて……やるしかないですね。

どうかお手柔らかに……

私が転移魔法を唱えます
ここは退却しましょう！

退くこともまた、生きる上では大事なこと……！

…すみません、肝心のお菓子が強奪されまして

これしかございません！！

落ち着かない場所が続くわね…