—ただの日記—

○月×日


現在俺達は『攻撃』を受けている。

侵略だ。

侵略者が現れたのだ。











俺のお昼寝エリアであるタイガーの荷台がにんじんで埋め尽くされてしまったのだ。

なんてこった。











しかし、旅の仲間が増えるのは悪いことではない。

現在の俺達のパーティ構成を紹介しよう。







俺(何でもない屋)

ベル(ツッコミ)

タイガー(軽トラ)

どくにんじん(侵略者)






なんだこのパーティー。







—同日—


どくにんじんに「昼寝するから場所を譲ってくれ」と言ったら、「おやすい御用さ！」と、場所を譲ってくれた。

案外良い奴だった。

侵略者だなんて言うのは良くなかったかもしれない。

人は外見で判断するものではないのかもしれない。

またひとつ勉強になった。

人じゃないけど。






—さらに同日—







昼寝から目が覚めたら、口にニンジンが突っ込まれてた。


あの野郎！油断したらすぐこれだ！








さっそく、そのことをトリー少年に伝える。

そしたら「にんじんはおいしいからな！」と言って笑っていた。






この少年も案外狂気に満ちているな。









—○月△日—

巷ではサマーバケーションというのが行われているらしい。

俺もタイガーといっしょに海にでかけることになった。





俺はサングラスとアロハシャツという夏仕様で悠々と砂浜に降り立った。

タイガーも夏ペイントで張り切っているようだ！





けど、軽トラって海で何をするんだ。

わからん。











とりあえず、砂浜でも駆け抜けるか。

アクセル全開で。

トート達が踏みそうになっていたのは偶然道にはみ出てきた竜の尻尾であった。
　あわや大事故か……誰もがそう思ったであろう一瞬。
　しかしそれはベルとトラックに搭載されたAIに尽力によって回避されたのであった。

　ため息混じりにぼやくのは青年である。先程まで防風林の道の脇にあるちょっとした広場で寝転がっていた竜は、ブレーキ音に驚いて目を覚まし、ベルの説明を受けて事情を理解した後、青年へと変じたのだった。
　とりあえずの治療をエンブリオたちに頼みつつトートへと歩み寄るクライカリオス。

　意識レベルの確認の為だろう。しゃがみ込めばトートの眼前で、ピースをするみたいに二本指を立てつつそんな問を投げるのであった。