ーただの日記ー


—○月×日—


マーマンはぶちのめしておいた。
タックルでな。















—○月△日—


俺達は飽きもせずに、水辺を走っていた。
最近では川の中に飛び込む無茶な運転をすることも少なくなったので、非常に平和な旅である。
コスモスとユメのふたりとは途中で別れる事になった。


出会っては別れるを繰り返す。


この世界での知り合いも増えてきたなと、なんとなくそんなことを思った。














—同日—


小川の途中でひと休みしている時のことである。


俺達のもとをひとりの男が訪ねてきた。


「どうも。トート=ロードストーンさんですか？」


俺はうなずく。男は俺の名前を確認すると、背負った鞄から手紙を一枚取り出した。


「あなた宛にお手紙ですよ」


どうやら、郵便配達人のようだ。


しかし、この男。
走って俺達に追いついてきたのだろうか。
軽トラに乗って走ってる俺達に対して走りで追いつくとは大した奴。


「一揆に参加したほうが良いのではないか？」と聞くと「私はただの郵便屋ですので」と格好良く走り去ってしまった。


転職したほうが良いのではないだろうか。










ーさらに同日ー



手紙を貰ったのは良いが、一体誰からの手紙なのか。
俺はこの世界に来てから、手紙を受け取るような人物とは会った記憶がない。

それでも、手紙はここにある。
さて、俺にわざわざ手紙をだすとは一体どんな用件なのか。

やっほー！一揆の影の参謀ルリアンナだよ！
君の活躍は私達のところまで伝わってきているよ。
なんでも最近はモンスターと一段熱い戦いを繰り広げたとか！

『トートンVSマーマン』！

よっ！このクソ顔芸男！！

いやあ、あの魔王パラダイスの軍門を根こそぎタックルで跳ね飛ばしてるんだってー？
それ聞いてこっちもスカッとしたから思わず手紙を書いちゃったよ！

この調子で魔王軍も魔王パラダイスもぶちのめしてやってね！
これからも君の活躍に期待してるよ！
じゃあねー！












あ！
あと、君のさらなる活躍のために特別な報酬を用意したからね。
袋の中に入ってるから役立てること！

俺は手紙の中をがさがさと漁る。
すると、確かに手紙以外のものが入っていた。




これは…、

じゃーん！なんと剛拳のなんたらのプロマイド写真です！
タックル仲間同士！いつでも一緒！
さみしくて眠れない夜もこの写真と一緒なら…

ルリアンナの奴め！
手の込んだ嫌がらせを！











こうして天気もよく気持ち良い小川日和の一日は、ラルフの顔写真と共に幕を開けたのだった。

そのように否定の言葉を述べてから、
仕事が全く来ないんだから、とその言葉に緩く首を傾いで。

フィーナッハ、と繰り返すトートに、
窘めるベルに、敢えてそう呼んでいることは理解したようだった。
相棒なのか、と問われたならば、

　少女は一応、回復の技も使えはするのである。が、即座に無理だと判断。手に負えそうにない。
　終始、真顔でそう言い放った。

トートの言葉に、少し表情を険しくした。どこか案じるような声音になる。

　

　「手伝いでも立派な物さ」と言う言葉を聞いて、きょとんとしたような表情を浮かべた。