『砂漠の隷姫』

　スズメドラゴンは起きていたので、背中に体を乗せる。

「我は乗り物ではない」
「乗り物じゃないなら、生きる価値ないわよ？」
「我の生きる価値はそんな秤の上に乗ってるチュン？」
「ええ。ちなみに今のあなたは１００馬力程度だから、私も運んで頂戴
　砂漠には“オアシス”というものがあるそうね？」
「いや、オアシスなんてそう易々と見つかるかよ。チュン
　そんなに水遊びがしたいなら水の小川で遊んでればよかったチュン」
「えー、砂漠も中々趣きがあっていいと思ったんだけどな」
「私は平原が好きよ？ピクニックができるし、猫も出てくるし」
「猫て」
「猫は我々ひゅんひゅん飛び回る族達の敵だろ」
「ケットシーちゃんはそんなことしないわ！あなた達最低だわよ！！
　ケットシーちゃんは！ケットシーちゃんは！！」
「皆寝てるんだから静かにしてくれよー。案山子さんが寝るかは知らないけどちえりは起こすと面倒だぞ、うるさいし」
「あの子がうるさいのは美徳よ」
「何が美徳だい」
「私思うの。人生行動が第一。死んでしまうのが第二だと。そう思わないかしら、スズメドラゴンさん？」
「思いませぬ」

「夜は寒いわね。私、夜中に砂漠の土がこんなに冷たいなんて思わなかったわ」
「少し掘るとまだ地面の中は温かいチュン」
「あらそうなの。くだらないこと教えてくれてありがとう」
「くだらないチュン」
「私サラマンダーよ？熱には困らないもの」
「ドールだから熱とかわりと無視できるよ」
「セイレーンと一緒に土中へ行って来るチュン。一揆とは難儀なり」

　ハズサ様が、何が難儀よ。私は髪の毛に砂がついて嫌だわ、なんて言っていた。それは私も嫌なんだが。

「ん、シャボン玉？」

　セイレーンがシャボン玉を飛ばして、それをスズメドラゴンがくちばしや尻尾で叩き壊して遊んでいるらしい。

「はやく　ねなさい　！」
「チュン」
「はーいっノシ」

　のしってなんだ？

——でざーとしもべひめ——

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それは、何ゆえ日記がセリフの羅列になっているのか、という質問でしょうか？
いや、分からんな。