——誰かが昔、優しく読み聞かせてくれた童話を、今も憶えている。暖かい掌。優しい声。 紙を指先が触れて擦れる音さえも、耳に届く。とても静かな部屋で、 優しい声は、残酷な物語の幕切れを、本を閉じながら締めくくった。 「人魚姫は、ナイフで刺されるような痛みを堪えなければいけない足で王子様の眠る部屋へ訪れました。それは、王子様の命を奪い、その血を足に塗る事で人魚となって死を免れる為でした」 「けれど、人魚姫は、王子様を殺して、自分を救う事が出来ませんでした。王子様を、心の底から愛していたからです」 「王子様と結婚出来ず、その命を奪う事も出来ず、人魚姫は、泡となって、消えてしまいました。ああ、可哀想な人魚姫」 ——葵アリエは、昔何処かで聞いた童話を思い出しながら、想いに耽る。 人を愛する為に、自分を犠牲にする事を理解出来なかった。 作り物である自分の命ならば、きっと容易い。 けど、それでも、誰かの為に壊れる事は、怖い。 でも、それの出来てしまう位、 好きになるとはどういう事なんだろう。 「……人を好きになる。自分の命と相手の命を秤に掛けて、それでも尚、相手を選べる位、……好きに」 好きになる事。それは作り物である自分にとって、 きっと禁忌のような事なのかもしれない。 けれど、一度芽生えた好奇心は、 その幼く純粋な心を煽り立てた。 「…アリエも、誰かを愛したい。 命を捨てられる位、人を愛してみたい」 ——葵アリエは、広い広い海を旅をしたいと想う。この広い海の何処かで、 「自分の命を捨てられる程に愛しく想う王子様に出会う」という願いを、叶える為に。 October 28,2016『人魚虚、出海』

《海底探索協会》

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アリエは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

アリエは体力を訓練した。
アリエは魔力を訓練した。
アリエは敏捷を訓練した。
アリエは魔力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
アリエは敏捷を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

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