大きな艇をあやつる、人ではないいきもの。 人のような体と顔をもちながら、足の先はゆらゆら動くひれ。 つるりとした白色の肌に、赤と青の模様、こまやかな黄色い角。 まるで、大きなウミウシが人の形を真似ているような。 仲間のマーニフィカ・・・マーニは、そんなふしぎな生き物でした。 マーニがどういった種類の生き物で、どこからやってきたのかは、よくわかりませんでした。 何せ、海では同じような生き物は見たことがなかったので。 海にはたくさんの生き物がいます。なかでもナマコ、ヒトデ、ウミウシのような、やわらかい体といろいろな模様を持つ生き物は、一体どれだけの種類がいるのか正確には分からないほど。 そんなたくさんの種類がいれば、中には、人と同じくらいに大きく、人の姿に近いような物も、いても不思議ではありません。 偉い人たちが見れば、新種だ、既存種の突然変異だと、何やら騒がれるのかもしれませんが。少なくともハイメリアにとっては、分類学上の位置付けなどは、関係のないことでした。 マーニは言葉が分かります、一緒に付いてこれます。 スキルストーンを介してお話しもできますし、その気になれば艇を操って戦うこともできます（ハイメリアよりもよほど強いのです）。 ただ、人の姿に近いからといって、人と同じくらい頭が良いわけではなく・・・言うなれば、言葉を覚える盛りのこども。 艇の操縦は身体を操るようにできるけれど、その言葉は、何にでも「なぜ？」と聞くような、子供っぽさがあふれるようでもありました。 ハイメリアにだって知らないことはたくさんありますが、それでも、マーニよりいくらかは知識はあります。 人のこと、探索者のこと。生き方のこと。・・・海のこと、世界のことなどは、ヒルダにかなうはずもありませんが。 自分が知っていることは教えたい、知らないことは一緒に知れたらいい。そうハイメリアは思っていました。 マーニは、ハイメリアとはまた違った意味で、ひとの様子に興味があるようでした。 ただ、マーニのすることはいまいち読めなかったので、何をしてしまうか分からない所もあります。 たとえば、艇の火力を全開にして人に突っ込んだり遺跡を破壊してしまったら、・・・あまり良いことではありません。 それで人が逃げてくれれば、海から出て行ってくれれば良いのですが、「探索者」として来ている人たちは、そうやすやすと逃げ帰るわけにもいかないのでしょう。 ──人に会ったらいきなり攻撃してはだめ。追い返すくらいにしようね。 それがどれだけ伝わっていたかは、マーニしか知りません。 ともかくハイメリアにとって、マーニは「知りたがりの妹」みたいな存在だったかもしれません。 もっとも、マーニとハイメリア、どちらが年上かなんて、分かりませんでしたが。 「じゃあ、行こっか」 そう言ってハイメリアは海へ向かいます。 探索協会の目の届かない海。手つかずの遺跡。ここが荒らされずにいればいいなと、少し思いながら。

ハイメリアはアイテムNo.3 焼き魚 を使用した。

敏捷が3上がった！

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
ハイメリア達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。