テリメイン調査業務報告書　３日目 記入者：ハタラ・クゾウ １．業務内容 （１）セルリアンの遺跡探索　１日目 穏やかな海《セルリアン》に存在する遺跡を探索する。 途中『棒人間のような存在、ヒトデが頭についた女性、ナマコが頭についた女性』と遭遇。 これを撃退する。 （２）他の探索者と模擬戦闘を行う スキルストーン戦にいち早く慣れるため、他の探索者たちと模擬戦闘を行う。 （３）引き続きセルリアンの遺跡を探索する 本日も（１）の探索を行う。 ２．所感 （１）テリメイン生物との戦闘 今回、テリメイン生物と初となる本格的な戦闘を迎えたが、驚くほどあっさりと撃退することができた。 穏やかな海な海の二つ名は伊達ではないようだ。 しかし、撃退行動を取る際に酸素を消費する点が重要な問題だ。 の供給が不足してしまうため、撃退したら引き上げなければならないのだ。 これはスキルストーンの仕組み的にしょうがないことだろう。 極力戦闘は避けるつもりではあるが、しばらく探索のペースは一定となるだろう。 （２）他の探索者との模擬戦の結果 模擬戦は当方の勝利だった。 しょせんは練習試合であり、この結果自体に大した意味はない。 重要なのは、全ての探索者の能力は一定となっていたのを確認できたことだ。 スキルストーンの能力にいち早く慣れることが、海賊をする上で最重要事項だと言える。 （２−１）一時的協力者の方について。 モルダバ氏は私と同じく肉弾戦を得意とするタイプだった。 本来ならばモルダバ氏のほうが私より強いのだろうが、このテリメインにおいては私と同程度の強さになっている。 フィーコ氏は魔力を扱う女性だ。 荒事は得意ではないと言っていたが、他の探索者に引けを取らない戦い方をしている。 さすがエルフとサキュバスの混血、魔術の扱いには慣れているのだろう。 彼女の力が頼りになる場面はありそうだ。 （３）セルリアンの遺跡の発見物 遺跡を探索してみたが、噂に聞くような特殊な力を持つアイテムや財宝は見つからなかった。 ここは協会の近くにある遺跡。そんなアイテムがあればとっくに掘り返されているはずだから当然だろう。 ・もしかしたらスキルストーンはこの遺跡にあった物なのかもしれない。 しかし、次の海域に出るにはこの遺跡を抜けなければならないようだ。 得るものはないが、今はこの遺跡を探索するしかないだろう。 これから先、この遺跡を抜けるまでは報告するような物は無いと思われる。 世界間通信（※）の費用を考え、特別に報告する内容がない場合は、生存報告だけ行うこととする。 以上。 ----- ※世界間通信 異なる世界で通信を行う仕組み。ハタラはこれを使ってメールを送信している。 電話・メール・チャットなど通信と名のつくものなら何でも行えるが、 通信容量が増えれば増えるほど通信費用が跳ね上がる。 テレビ電話なぞしようものなら5分で家が買えるぐらいの費用がかかる。 通信が成立しなければ費用がかからないので、異なる世界から電話を鳴らして切る（いわゆるワン切り）は無料でできる。 ハタラの生存報告もこれと似た仕組みを使ったもの。 業務外の異世界通信は禁止されているため、ハタラは家族と連絡が取れていない。 妻のイテネに迷惑と心配ばかりかけて申し訳ないとハタラは思っている。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ハタラは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

穏やかな潮の流れに、時に身を任せ、時に原生生物を相手にし、
確実にテリメインの探索へ進んでいたハタラは、
前方に大きな泡に包まれたドーム状の建物を発見した。
近くの岩に、建物の名前が彫られているのを確認できるかもしれない。

	テリメイン最先端探索拠点

……どうやらここが、海底探索協会の最先端拠点らしい。
これよりドームから先は、いよいよ未知なる海域が待っているのだろう。

誰も見たことのない財宝。
誰も発見したことのない未知なる生物、海底遺跡。
己の力をつけるため、願いを叶えるため……。

様々な目的を胸に秘め、各地から集まった探索者たちは旅立っていく。

テリメイン最先端探索拠点は、そんな夢を秘めた冒険者たちに、
最先端のスキルストーンやチューンジェムを揃えて販売している。

この拠点より先は、海底探索者協会の目が届かない海域だ。
【海賊】と呼ばれる者たちに襲われる危険性もあるかもしれない。

未知なる海域へ足を踏み入れる前に、ここで十分に準備をしてもいいだろう。