例えば、屈強な戦士だったり　傭兵だったり。 例えば、俊敏そうな軽業師だったり　元暗殺者だったり。 そんな風体とは似ても似つかない 強いて言うなら　麗らかな小春日がに使う麗しの少女達。 そんな言葉が似合うな、きっと。 求人を見て集ってくれた二人を見て呑気にそんな事を思っていたと思う。 それがこの地での探索に協力してくれる者を見ての第一印象だった。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

「それが、すっとこどっこい。テストの結果は凄かったのですよ。」

「そうですね…、少し心配だったんですが心配も失礼というレベルでした…。」

────そう、先日に出した求人に集まった二人の状態は申し分なく、それどころかもしかしたら私のほうが足手纏いになるのではと想える程の腕だった。一人は、義腕を器用に且つ力強く操る猫の様な耳と尻尾が特徴の子。俊敏ながらも敵の攻撃を受けながらも、なぎ倒す様はとても力強く感じた。 もう一人は、柔らかな薄いグラデーションの掛かった髪色に宝石の様に目まぐるしく変わる瞳が印象的だった。…いや、その容姿にある意味不釣り合いに感じる杖もまた印象的だったかもしれない。重そうな杖を操り敵を叩き伏せている様子は不安を感じさせない戦いぶりだった。

「…華鳴の云う様に凄かったですよね。冒険者家業の私がもしかして 一番頼りないのではという気が凄いします。知らない事の方が多い土地ですし…。」

「八代、ファイトなのです。同じ様に外から来た方達ならば知らない事が多いのは 多分同じなのです。一緒に頑張れば良いだけなのですよ～！」

普段は物怖じし易く、二人に始め会った時も私の影に隠れていた華鳴がそう声を掛けてくる。 僕がやってきた時の事を考えるとまだマシな方なのですよ、と。少し照れくさそうに笑って。 自分の手伝いにと、連れてきた筈がすっかり立場が逆転している。 けれども、それは落ち込み始めていた私にとってはとても有り難い事だった。

「ふふ、そうですね。こういう場所に私達だけって初めてだから、少し気後れが過ぎましたかね。華鳴の頑張りにも報いなくては。私も頑張りましょう。」

「僕だって、一回りも二回りも大きくなって帰るつもりなのです！……ま、先ずは初対面の人から隠れない事を目標に…するのですよ…。」

「ソ、ソウデスネー…。」

求人に応じてやって来てくれた一見、歳が近そうに見える二人にその場で硬直して 不思議そうに見られた事に先は長そうだけれど…と思いながらも少しずつでも成長したいと 願う少女に小さなエールを胸の内で送りつつ、そんな私も集ってくれた二人に並べる様になりたいと願うのであった。 そうしてテリメインでの新たな住まいにも漸く落ち着く事が出来たその一室で私達は これからの遺跡を巡る日々にそれぞれ思いを馳せながら、静かな海で過ごす初めての夜は更けて行ったのである。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。