メルクロンドと呼ばれる世界は、人とそうではないもの達がよりよく暮らしていこうという結論のもとに互いに境界を作り干渉しないようになされていた。 それでも、その境界を故意にせよ偶然にせよ乗り越えてしまうものは少なからずいる。 そんな世界の秩序を守るため、境界を守る番人が存在した。 「……」 森の奥にひっそりとある小さな村は、境界を守る番人の１人が作り上げたと言われている村だ。 村の奥にある他の家よりも少し大きな木造の家。それが、番人の住む家だった 日取りの窓の側にある揺り椅子座りながら番人——ひとりの老婆が手紙を眺めてはため息をひとつ吐いた。 「ばっちゃーー！！」 それから手紙を畳んだところで玄関から元気のいい子供の声がして、老婆はそちらに視線を向けた。 赤毛の幼女がぱたぱたと揺り椅子のそばまで駆け寄って畳んだばかりの手紙を勝手に開いていく。 しかし、まだ幼い子供にはその中身を読むことは叶わず、色んな角度に紙をくるくる回しながら眺めてから後ろを振り替えって紙を差し出した。 「とっちゃー、よんでー？」 「んー、ちと貸せぇ」 とっちゃ——お父さん、と呼ばれたのは身の丈２メートル程のリザードマンだ。全身を青い鱗に覆われており、その手にはおおよそ紙を触るのに不便な鋭い爪を生やしている。 それでも器用に手紙を摘まんで中身に目を通した。 「海底探索？」 「たんさくー？」 手紙——テリメインの海底探索協会より協力を要請する書状——を見て首をかしげる。 「ばっちゃ、海いく？」 「アタシはもうそんな元気ないよ。だからお前を呼んだのさ……ギル」 幼女の問いに老婆はゆるく首を横に振ってからギル、と呼んだリザードマンの方へ視線を向けた。 「……コレにいけってことか？」 「そうだよ。お前だって海が恋しいだろ」 「ばっちゃんが俺ぁ陸にあげた癖によーいうな」 畳んでくれ、と幼女に手紙を私ながらギルはため息を吐いた。彼にとって海はむしろホームグラウンドだ。だから、悪い話ではないのだけども……。そう思いながら綺麗に手紙を畳む幼女を見た。 偶然にも境界を乗り越えて、人でありなからそうではない者に育てられた子。 「フィオは、どうすんだ」 フィオと呼ばれたその幼女は、突然出てきた自らの名前にきょとん、と二人の様子を眺めている。 「連れていきな。あそこの世界なら、人でも海に潜れるさ」 「うみ、見れるの！？」 老婆の言葉にフィオの瞳がきらきらと輝く。期待に満ちた視線を向けられたギルはどうしたものかと爪の先で頭を掻いた。 「んでも、探索なんて危ないべや」 「それはお前が責任もって守ってやればいいじゃないか」 「……ばっちゃんはフィオに甘い」 「孫はいつでもかわいいもんだよ」 「俺も孫だ」 むっとするギルを見ても老婆は素知らぬ顔をする。二人のやり取りを見ていたフィオは落ち着かない様子でもじもじしたりギルを見上げたりしている。 「うみ、いけない？」 潤んだ瞳が下から見上げてくる。この視線にギルはどうしようもなく弱かった。 「ったく！危なかったらすぐ帰やすからな！」 「わーい！うみー！」 ぴょんぴょんと跳ねるフィオを見ながらギルはもう一度ため息を吐くしかなかった。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

ギルは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

ギルはSSシェルボックス(低)を購入した。

ギルは体力を訓練した。
ギルは体力を訓練した。
ギルは器用を訓練した。
ギルは精神を訓練した。
ギルは敏捷を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

目的の決定