「んー……そうだねえ。きみはゴンゾウで」
「あぁん？　ダセぇな！　でも悪くねえじゃねえかコラァ！！」

「きみは……そうだな、ホムラってどうかな。僕の故郷の言葉で炎のことなんだけど」
「……そうか。好きにしろ」

「きみはーだね、ナルカミでどうだい？　これは雷のことで、ついでに神様を指す言葉でもあるんだ」
「我が契約者、貴方の望むように……」

「……あー。きみはまあカッパでいいよね。今までそう呼んでたし」
「いいぞ。きゅうり使え、きゅうり」

『——どうしたのです？　急に名前などつけだして』
「ん、ああ、歌うたい君か。いやなに、ちょっと結びつきを強めておかないといけなくなったんでね」
『結びつきを？　……やだ、なにこの臭い……』
「離れてる君でも意識を接続すると分かるか……いやね、気難しいのが居るって言ったの覚えてるかな。
　そいつが目を覚ましたんでね、弱い結びつきのままだと……ヘタすると、目を離した隙に食われちゃうかもしれないから。
　あと、この臭いもそいつのせい」
『……それはまた、穏便な話ではありませんね……。あら、私は良いのですか？』
「うん。きみはきみで、歌うたいって呼び名があるでしょ？　僕とのやりとりには足りてる。
　それに距離が離れてるから、近いところにいる彼らほど危なくもないし」
『そうなのですか。
　ですけど……あの、あなたは大丈夫ですの？』
「おや、心配してくれるんだ？　嬉しいねえ、綺麗どころにそういうこと言ってもらえるなんて」
『そういうことではありません！　もうっ——』
「……ん？　おーい？　……切断したか。ま、いいけどね」


　いちおう当面の対処は出来たかな。さすがに戦力の源を勝手に削られちゃたまらないからねえ。
　削った当人の力がそのぶん増してくれるならともかく、ただ食い散らすだけのときもあるからなあ。
「……まったく。お前と付き合うのも大変だよ、相棒」

　つんと得物の宝玉を指でつつくと、身をよじる毛皮のイメージが男の脳裏に浮かんだ。

こくこくと頷きながら話を聞いている。一通り聞き終えたところで口を開いた。

おどけた調子で苦笑したジンスケに釣られたのか、少し口元が微笑んだように見えた。

不思議そうにジンスケさんを見つめ、困り顔をマジマジと眺める。

背負った薙刀を引き出し、構える。

背負った薙刀を引き出し、構える