この世界には、"エンブリオ" という生命体が存在する。
俺は一部のモノ達と "契約" をし、力を得ている。

無論、これは俺に限った話ではない。
同行者である3人を始め、様々なモノが契約を交わし、力を得ている。
契約の形は様々なようだ。


同行者であるロック、グレンダは直に契約を交わす。
姿、形は何も変わらずに。
よく契約したエンブリオ達と話をするのも見かけるが、立場は服従というわけではないらしい。
さながらロックはサーカス、グレンダは動物園といったところか。

テラーについてはよくわからない。
気づいたらエンブリオの姿は消えている。
ただし、力を発揮する際に特定のキーワードを呟くから、何かしら形には見えない契約なのだろう、と推察する。
聞く話では身に刻印を刻んだり、データとして管理する者もいるらしいから、おそらくその類なのだろう、多分。


おそらくは当人が望む形での契約となるのだろう。
対等、主従、管理……口に出さずとも、心の底に眠る形を。


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そんな事を考えながら、ワイワイしている同行者を余所に少し影に隠れ——ポケットを探り、アンプルを取り出す。

元々持っていたわけではない。
知らないうちに、いや、契約の時に気づけばポケットの中に入っている。

そして、どう使うかは……そのままだ。
同じくアンプルと一緒に何故か所持している注射器を使い、利き腕ではない左腕に注入する。
謎の液体を体に混入するだけあって、しばらくは体調も気分も優れない。
ただ、俺がこういう形の契約を取る事については自然と体が反応する——最初にウンディーネの力を借りた時からだ。
体調悪化は契約の代償なのだろう。


厄介なのは力と同時に意識、記憶もなだれ込んでくる事だ。
澄み切った世界も、血生臭い光景も、朽ちた記憶も——悉く俺の知らない記憶をも刺激する。


今回は何が焼付くのだろうか。

——15th.

水橋は　とても　動揺している！