[No.?:Lela=Loreley]
[No.10:Eyes=Marchen]


うーん、アイズさん。彼にはちょっと早かったんじゃないのかなぁ？



ん、そうか？私の見立てではそこそこやれるんじゃないかと思っているのだが。



確かに筋がいいんだけどね、もう少し回り道をしてあげないと。
そうしないと、57人目の子と同じ運命を辿っちゃうよ。

57人目の子の失敗は多くを一気に手に入れてしまった事……
……まあ結果的に彼のおかげで私達が出会う事ができたんだけど。



そうか……そうだな。
それならば我々は暫く様子を見るとするか。



ええ、そうしましょう。





・〜・〜・〜・〜

不思議な事だな、と思った。
もちろん、権限を持たないために到達できない領域はいくつかある。
しかし一時的ながらも管理権限を得ている『システム』はその全てに到達可能なはずであった。
すると、管理権限さえ管理する何かがあるのだろうか？

現に不明領域がある以上は何かあるはずだ。

僕は『システム』に継続調査を依頼し、部屋を出た。




・〜・〜・〜・〜




ルリアンナさんを象った闇が崩れ落ち、辺りに静寂が戻った。
この戦いはこれで終わりのようだ。

勝利を喜ぶ僕達。
そしてどうやら僕達の進むべきはこの先らしい。

新たな道が開けたという事で今回の共闘は一区切りとし、解散する事となった。
もしかしたらまた集まって一緒に戦うこともあるかもしれない。
僕は頼もしい戦友たちに別れを告げ、再び独自の道に戻る。

とりあえずは人の多そうな所に行くのがいいかもしれない。
この先に進むにしろ、別の場所を拓くにしろ少し準備が必要だ。

その場を後にした僕は引っかかっていた疑問を反芻する。
感じた力はエンブリオそのものだったけどこれまでのエンブリオとは明らかに異質だった。
変態するとはいえあくまで一個体であるふわもこ族とも違っている。
王の力と言っていた事を考えるともしかすると仮初の生命だったのかもしれない。
しかしその仮初の生命でさえあれだけの強さを持っていたという事は……

勝利の余韻も程々に、これから立ち向かう事となる王の力の一片を感じ、僕は一抹の不安を覚えていた。

　運び屋は仔狼を解き放った！