いつも会話をしてくれる、その柔らかな優しさに拾われた。
傷ついた身体は治癒までのわずかなひとときに庇護を求めていて、私は彼と、その仲間に甘えてしまった。
それをひどく申し訳なく、思う。

本来は彼らのために使われるべき物資、割かれるべき思いやり。
私には過ぎたものばかりだ。

肉の身体についた傷は、癒える。
消えない傷があったところで、私はおそらく、それを厭わないだろう。
私の身体はすでに穢れて、傷のひとつふたつで変わるものなどありはしない。

幾度も倒れて、そして立ち上がって。
こんなにも深い諦めがあるのに、身体はどうしてか意志よりも強くて、こころの在処を見失う。
足を止めることへの恐れだけが、腹の底を揺蕩っている。

真朱が、潰れてしまいそうな私の身体を内側から支えているのを感じた。
紙の風船に吹き込まれる吐息のような、頼りないちから。

ごめんなさいと真朱が詫びる。

ごめんなさい。
今のわたしがあなたにしてあげられることは、あまりにも少ない。
ごめんなさい。
あなたの元にありながら、あなたのことを守れもしない。

いいえと答えて、私も目を閉じる。

彼らと別れても、まだ歩かなければ。

目を開いて、あてどもなくまた、足を進める。
まだ痛む身体の訴える、なにもかもに目をつぶって歩く。

神楽は不機嫌そうに振り向いた！

神楽は最低な事を言った！！

鳴子は燈子と別れて、彼女の姿が完全に見えなくなると静かにため息をついた。

瓶を取り出して差し出す。