あたしのこの空間──世界間を移動する力が分かったのは、お父さんから魔法を教わっていた時だった。

お父さんは基礎を重んじていて妥協しない。
だから、魔法式を組み立てる時の状態をどれくらい維持できるか、なんて練習もあった。
いわゆる、魔力を集めて集中している状態だ。

その時、あたしの中では、式を組み立てていないのに、勝手に道が作られていた。
それに気付いたお父さんがあたしを揺すって解放してくれなかったら、そのままどこかへ行ってしまってたかもしれない。

でも、お父さんには、この力に関する知識がなかった。
もしかしたら、と、おじいちゃんに聞いてみたら、おじいちゃんがいろいろ知っていて、結局、あたしはおじいちゃんから使い方を学んだ。

使い手ではないおじいちゃんが詳しいのは、おじいちゃんのお姉ちゃんが使い手で、その練習に付き合っていたからだそうだ。
暴走したり、いろいろ巻き込まれたそうだけど、それは今は関係のないお話。

ぱん、と手を叩いて。