お姉ちゃんとあたしは、物事を同時期に教わり始めることが多かった。
　年齢差は二歳。十歳前後なら結構大きい差。
　普通に考えれば、あたしよりお姉ちゃんの方が出来がいいはず。
　でも、実際は逆で、あたしの方が大抵上手かった。

　お姉ちゃんの出来が悪いわけではなく、
　あたしの要領がいいというか、コツを掴むのに長けていたのだと思う。
　ただ、中にはお姉ちゃんの方が上達が早いものもあって、
　お姉ちゃんは、それが自分にあっている事なのだと早くから理解していた。

　そして、あたしには、ソレはなかった。


　自分がやりたい事、得意な事、それに向かって突き進むお姉ちゃんが羨ましかった。
　あたしもお姉ちゃんのようにやりたいけど出来ない。
　そんな悩みをお父さんに話した事がある。

　急がなくてもいいよ。
　ソレはゆっくり探せばいい。

　お父さんはそう言ってくれた。
　だから、あたしは安心して探し始めた。

　なかなか見つからないから、今もずっと探しているのだけど。

男は少女に向かって軽く肩を竦めて見せた。

君の言葉を聞いて、やれやれ、と口に出して、