【Ｓｉｄｅ．伯爵】
—————————————————————————————————————————————

【Ｓｉｄｅ．ネム】
—————————————————————————————————————————————


きのうは　人間のへいしをたくさんころしたわ。　
だけど、かんじんの男（らるると？）は　しっぽをまいてにげてしまった。　


ネムは、ああいう人間がだいきらいよ。　
だいじななかまをみすてるなんて……ううん、だいじともおもっていない。　
このへいしたちは、りようされただけだったんだわ。　


人間はみんなきらいだけど、　
いつだって、よりザンコクなのは、うえにたつもの。　
りようされるだけの、かわいそうな人間もいる。　
うえにたつものをすべてころしたら、ひょっとすると、人間とも、なかよく……　

ちょっとさむかったから、　
フィリーとちいさいのをだきしめておひるねをした。　
それから、ばんごはんのことをかんがえた。　

（あるく）

（もつ）

首筋に牙痕のようなものが見える。
指先で少し強く撫で、軽く俯く。

そんなことを言いつつ、懐からシメジ株を取り出し。
おもむろに伯爵の頭へと、載せようと試みてみたり。

悪くない響きだろう？　と満足げな顔で、伯爵の顔を見返す。

ぐるりと振り返り、伯爵のほうに向き直る。

　　

　

思考が冷めていく。
だけれど、感情は爆ぜる。
人の命を平然を奪える集団に対しての怒り。
一揆の邪魔をされている事への怒り。

…後は行った先でウンディーネが時間を稼いでくれるはずだ。
幼い子がこの場に居合わせるのは、まずい。

まあいい。今はそんなことを言っている場合じゃない。
気づかれているかもしれないが、この方が相手も都合がいいだろう。

振り返り、向き直る。