Ｎの月　１３の日。

思考をただ巡らすだけでは考えは纏まらないもの。
書き記していきましょう。
誰を狙うか。

来訪者を狙えるなら一番。
ただしその数は減少の一途を辿り、それのみに期待するのはもはや無理でしょう。
今後は散歩は続けるとしても頻度は減らし、過度の期待は禁物です。

街や村の一般人。
警戒心も少なく私の心を深く満たしてくれることでしょう。
ただし、警戒心を持たれた場合一番厄介な存在でもあります。
一度でも発覚した場合には日常生活にも影響が大きく出てしまいます。
一人二人でしたら偽装することも可能ですが、回数を重ねる度にそれも難しくなるでしょう。
ハイリスク、ハイリターン。
それ故、初日の衝動的実行以来控えていたことでもあります。
今後も最終手段としておいた方が無難です。

賞金首。
反旗の集いの中で、同じ探索者を狙う者。
探索者同士の争いは禁じられていますが、それを冒す者。
この者達を限定して狙う場合には、探索者同士の争いも認められている。
行き過ぎた行為に及んでも、多少は黙認される期待もあります。
ここまでなら理想的な獲物に思えますが、致命的な問題もあり。
それは賞金首は報復も覚悟した人間であること。
もちろん中には覚悟も出来ていない愚か者もいるでしょうが、期待はすべきではありません。
覚悟をしている人間が相手では、私の目的は果たせません。
それでは無意味です。

通常の他の探索者。
反旗の集いの中で他の探索者との争い事は禁止。
ただ、禁止されているだけで不可能ではありません。
街人や村人と比べたらリスクも少ない。
ただし、当然禁止されていることであるため問題無しと簡単に言えるものでは無い。
街や村の中でも住みにくくなるでしょうし、
集いの発起人達により、探索者同士の取引を不可能なレベルで監視が行われている。
当然街や村、取引においても闇ルートは存在します。
ただ不便な生活になることは確実ですね。

選択肢はこのくらいでしょうか。
我慢して生きるというのも不可能ですし、探索者狙いの一択ですか。
もう少々考える時間を作っても良いですが、ほぼ決まりですかね。
探索者を襲った者は賞金首となる。
結局、世界が変わっても人は変われないということでしょうね。
本質は当然と思っていましたが、その上っ面もまた。
諦め受け入れてしまいましょうか。
新たなことでも無い。
この世界でもまた、賞金首と呼ばれるだけのことです。

鞄をごそごそと漁ると、中から新品のCDを出してきた