雪の山にて人を見かけることは少ない。
だが、あの悲劇を繰り返してはならない。

この山でもう泣かせるものを増やしてはならない。

その為の火

その為の姿

その為の氷


この炎は決して人を傷つけるものではあらず。

この氷は決して人を壊れさすものではあらず。

この姿は決して人を惑わすものではあらず。

では今私が成していることは何？

これは、本当の私？

これが、本当の『雪火女』？


わからない。
今の私は人を傷つけ、惑わしている。

私は、どうして、こんなことする為に、この姿になったわけじゃないのに。

流れる涙。これは本当に悲しんでいるから？

黒い炎が私に語りかける。

「何も心配はいらない」と。

あの人が、私に語りかけてくる。
「君は護ものがあるから今ここにいる」と。

今、貴方に抱きしめてほしい。
貴方の胸にて泣かせてほしい。
貴方の言葉に慰めてほしい。
やっと会えたのだから。

もう、貴方から離れたくない。

おなじ、おなじだ。
コトバがのしかかる。そう、仲間。

これには驚いた！

触ったようだ…てか何故触った。

火傷した部分が徐々に良くなっていって触る前に戻った…
旗から見れば彼女の体の方が不思議である。

そしてその手は触る前の健全な手そのものである。

疑問がいっぱいで好奇心が刺激されたようだ！

白の中を進んでいると、それらは現れた。地下牢に巣食う者か、城の主がけしかけた番兵か。
その中で目立つ1つの妖女を見る。

龍は両腕を脱力させ、下ろした状態で低く構えた。



彼の右頬がわずかに釣りあがる。

ふいに殺気をまとっていく——

彼の両腕がまるで別の生き物のようにうねりを上げた。

そのさまはまるで四肢の無い爬虫類のようだった。

妖怪たちはどこまで抗えるでしょうか