「そうか。だが大体その認識で合ってるぜ。
まぁ便利ってのも確かに便利なんだが、一方じゃ軽蔑の対象でもある。
報酬と契約次第じゃ汚れ仕事だって手に付けるワケだしな。
一歩間違えばアンタみてぇなのに追われる立場にもなりかねねぇ」

「オイオイ、事実を言ってくれるなよ。
だが相性の良し悪しってのは事ある毎に付き纏ってくる、手札が限られている状態じゃあ尚更だ。
もーちょい融通利いてくれりゃやりようのある場面もあったんだが、思うようにはいかねぇモンだぜ」

「へぇ、この"世界"に居るアンタでも制御し切れねぇじゃじゃ馬揃い…ってか。
この"世界"固有ってのも頷ける珍しい存在だとは思うが、根幹を成すもの、であるっても聞いている。
…まぁコレはガイドの受け売りだが。…そうだな、アンタから見て、エンブリオってのは"何"なんだ？」

「ここに来てからも大いに実感したが、身の丈に合わせて動くのが賢いやり方だな。
実際のところ対峙して無事で済む気がしねぇぜそういう連中にはよ…
時にはソイツを逸脱しなけりゃいけねぇ場合もあるが、な」

「…元々請けた仕事が一揆側での参戦だからな。
ちょっとやそっとじゃ契約を反故に出来ねぇのも冒険者の辛いところさ、その後の信用に関わるしな。
王城側からの協力要請が依頼として来ていたんなら考えてたかもしれねぇけどよ…」

「多少結果論が入るが、こっちで手に入れられる情報を纏めた感じでは
この一揆は王城側が民衆に対して仕掛けるのがちっとばかし時期尚早に見える。
一揆側の初動が早かったのが原因かもな。それと一揆参加者の練度とエンブリオ適正も高い。
恐らく一揆側が後数手遅ければこんな騒動なんざ起こらず王城側が民衆を制圧してただろうが
今のところはまだ5分5分ってトコだと思うぜ、俺はな」

「…あぁそうだ。闘技大会、付き合ってくれてありがとよ。中々楽しかったぜ。
次大会で出くわすならまず間違いなく敵同士だろうが…アンタとは当たりたくねぇなあ。
狙撃されたらたまんねぇし、壁を無視して後衛から潰されちゃあ面子も立たねぇしよ」