街のどこかの暗い隠し部屋に、三人の人影が佇んでいます。
一人は、白いフードから覗く金髪を揺らした少女。
一人は、鈍色の鎧を纏う隻眼の女騎士。
一人は、黒いフードで顔を隠した魔導士の男。

「今となっては、貴様ら以外に頼める者も居らぬ。
　あの娘……、いや、怪物は、すでに私の手を離れた。
　手前勝手な事とは思うが……どうか、あの怪物を殺してほしい。」

「話が見えないわ。
　あの娘とは、怪物とは、そしてあなたは誰？」

「……疾うに、家門も名も捨てた身だ。」

何かに気付いた女騎士が、驚きに声を上げます。

「あ、あなたは……！」



　+ + +



森の洋館の前に、来訪者の一団の姿がありました。
先頭に立つのは、一対の白騎士と黒騎士。
その後ろには、鈍色の鎧の下級騎士たちが隊列を成しています。
皆一様に、剣や槍、弓などを捧げ持ち、その物々しい様子は、まるで討伐隊のようです。

戦鎚を手にした騎士の一人が正面扉を打ち破ると、戦々恐々とした女中たちを後目に、奥へと踏み込んでゆきます。


「これ以上の狼藉を許すな、私が直接指揮を執る。」

伝令の私兵を従え、伯爵が部屋を後にします。
部屋を去る間際、あの優しげな表情で、白い少女に語りかけます。

「その本の続きは、客人が帰ってからにしよう。
　……それまで、待っていてくれるね？」

意味だけを考えるなら成立する模様。

なんだか説明してるうちに急に恥ずかしくなってくる現象がアムルを襲う！

ほふーと息を吐くアムル、けっきょく自分にも良くわかってない模様。

なんかへんな考えが湧きそうになったのか、笑顔を向けるミオさんから赤くなって目を背けるのでした。


+++


小器用にナイフとフォークを使って、ホットケーキを小さく切っていた手を止めて。

『人間になにかされそうになったら』と、怖い言葉を口にしたミオさんに、アムルは感謝の言葉を返します。
そうしてから、少し身を乗り出して『でも』と続けました。

絵本の例えが分からないならと、アムルはいくつかの例を口にします。
勇者に討伐される魔王や、盗賊に退治された悪い大臣、ダイナマイトで爆死する人食いザメとか。

そんな言葉を口にしてから、小さく切ったホットケーキを口に運んで。
独特な方法でホットケーキを食べるミオさんの姿に目を丸くして、おかしかったのかクスクスと笑います。

澄ました顔でそんなことを口にするのでした。


+++

お部屋でくつろいでいるうちに起きたミオさんの変化に首をかしげて、そんなことを尋ねるのでした。

ナナシは薄めを開けながら怖ごわと受け取ると、くんくんスンスン匂いを嗅ぎ、匂いに問題がなければ目をきちんと開けて検める。
そして問題がないと感じれば

そう言ってナナシは代金を払う。ちょっとした買い物くらいなら出来る額が手に入っただろう。

内蔵が黒く染め上げられるような奇妙な感覚を覚えながらも、出来ると分かれば容赦なく強めていきます。
普段厄なんかを吸ったりもしているのであまり気にしていないようでした。
厄ほど甘い相手ではないかもとは思いながら・・・

さっきはじけた人型って発声器も兼ねてたんだよなー多分とか思いつつ、この状況をどうしようかと思案する

闇の濃そうな所に向かって大音量のテレパシー・・・精神攻撃を送り込んでみる

半分割ったチョコレートの片方をもぐもぐと頬張りながらしゃべっている。

食べてたチョコレートを思わず吐き出しそうなくらい驚いて

そう言うと、メグは頭をぶんぶんと振ります。

今まで、意識して見ないようにしていたということもあるが、
そこでメグは初めて、ようやく銀色の少女の右腕に見える大きな鎌に向き合った。

確かに、言われる通り、手に持っているというより、手から「生えている」ようにも見える。

彼女の右腕の鎌は種族としての特徴の一つであると、これまで先天的なモノだと思っていたメグだったが、
その瞬間、「記憶喪失」という言葉が脳内を過ぎったことと相俟って、
ある日、突然無垢な少女を襲った不幸、という、後天的に会得"させられた"可能性について思い当たる。

メグは少女の言葉を、『いつかは鎌が制御できなくなる日がやってくるかもしれない』

或いは、『自分の意思に反して暴走することもある』……というふうに受け取った。

　——メグはまだ彼女の裏の顔を知らない。

　——知ってしまった時、自分は冷静に対処できるだろうか。

ひとまずは、銀色の少女を安心させるために笑顔を向けて答える。

しかし……いつかは覚悟を決めなければならない時が来るのだろうか……。

わたしの『光』は、そのときのために磨いた『光の刃』なのかもしれない……。

ミオの言葉に若干の湿った感情を読み取ったメグは、最悪の自体を想像して俄かに表情が引き締まる。