なんか突然叫びだした。
先ほどからよく何か喋ってはいたようだが、一際トーンが高かったものだから思わず驚いて。
その後、シーン、となった上に、何か一方に謝られてしまえば、何やら妙な罪悪感が。

そろそろ、と手を伸ばし、マント、つまりガイを撫でようと。
怒りを宥めてほしいという意味合いをこめて。……感覚、あるのかはわからないが。
あと、扱いが若干動物か子供的な宥め方だが。

あっちの世界じゃ無機物は喋らないし動かないし好みなんて多分ない。
寂しい恋愛事情もぽつりと垣間見せつつ、自分の頬に片手をあててしみじみと考え込んでみたり。

と返したところでツッコミが入った。どうやら意味が違ったようだ。
まあ別に、誰に何をされたって死なない限りは構いはしないのだが。

彼は自分の事を武具と、道具に等しいものだという。
なんだ、私と似ている部分があるじゃないか。——だからこそ。

死ぬのが任務だなんて。私と似た人が、死ななければならないなんて。
そんな事を目の前で言われるのを、私は許す事ができなかった。

なんだかんだで面白そうにしている金狐である。