Vanetta's Diary - Page.21

気が付けば随分とページも進んだ21日目の日記。
なんかそれより遥かに長い期間が過ぎた気もするけど……
やっぱり時間が歪められてるんじゃないのこの周辺。

そう。いろんな事がおかしい。
少し前にも書いた通り、この周辺かこの世界かは、やっぱり時間の流れがおかしいと思うの。

──閑話休題。時間の件は置いといて。

この一揆、というか魔王パラダイスの居城であるこの城がいよいよ理解を超えたレベルでおかしくなってきた。
私達の侵攻速度が非常にゆっくりで、先端に重要な興味を抱いていないからこぼれ話程度でしか知らない、というのもあるでしょうけど、
ここ数日で見つかった各種の化物の事は置いといたとしても、城がおかしい。
探索に数日規模でかかるエリアが複数、しかも中庭か裏手かは不明だけど、屋外エリアがこれまた複数。
とても一つの城に収まるものと思えない。


と、ここであの城の大きさを図る根拠が、あの日の「始まりの丘」からの眺めだけだと気付く。
これだけの広さのエリアを空間をねじ曲げて繋げるのと、
まともな広さのエリアの探索にかかる時間を、時間をねじ曲げて水増しするのと、
「始まりの丘」からの城の外見を幻影術で小さく見せるのと……
さて、どれが一番現実的であり得そうか。

正直どれも酷い話だと思うし、やる理由も分からない。
各地に配置された化物を思えば、下手に時間稼ぎをして一揆参加者に強くなる期間を与えるなんて事をせず、
一気に打って出ればそれで現王側の勝利ではないか。

もし打って出れない理由があったとしても、これだけの広さ──或いはそう見せかける理由──を確保する理由が分からない。
無根拠で突拍子もない仮説ならいくつか立てられるけど……もう少し情報なりを集める必要がある、か。

そこでふと真剣な表情を見せ、ちょっと真面目な話してもいいか？と、前置きをする。

全くの想定外ではあったが、反応が遅れたのはほんの一瞬。染み付いた習慣はヒナカの体をスムーズにボールの元へと運ぶ。

絶妙なボールの殺し方に加え、初動が遅れたこともあって完全に不利な状況ではあったが、ヒナカは最後まで諦めずに投げる素振りを見せようとして、

1塁側、槍のブーストですっ飛ぶ相手の姿を見て、素っ頓狂な叫び声を上げていた。

悪化した。

（コミュニティ「走る煉獄ボーイズ」立ち上げ前のお話。）