Vanetta's Diary - Page.16

既にこのメルンテーゼに来てから半月。この世界の一揆に参加してからも半月。
確実に現王側の手の内は明かされ手勢は削れ、城内に突入した者も少なくない。
しかし肝心の一揆が進んでいるか、と言われれば首を捻らざるを得ないのもまた事実。
エリアや拠点を制圧した話こそ聞けど、そこに侵攻の実感は……少なくとも私にはない。
まるで迷路に誘い込まれ、そこでただひたすらに迷っている。そんな感触。

最新の噂によれば現王側でも一揆側でもない、勢力不明の──しかも圧倒的な力を持つ──存在が確認されたらしい。
それも一揆勢を待ち構えるが如く、侵攻側から見ての深部に揃いも揃って複数箇所で同時に。

これを偶然で片付けるのは果たして正しいのか、それとも。
この未知に対して興味は尽きないけど、深入りできるほどの力もないし、手を突っ込んでいいのか、という怖れもある。

結局、いつも通り、基本は傍観者であるべきか。
自分の楽しさを優先に。それで問題はないはず。




だけど思う。この一揆は、臭すぎる。
決定的な何かがある訳ではないけど、引っかかることが多すぎる。
何が起きてもいいような警戒だけは、続けるべきかもしれない。

ゆっくりと、あなたの手を掴んだ。

あなたを見つめながら、ファイは真剣に問いかける。