レーネフィア記　Af.5017.2D.24,世界移動から六日目

平原に獣の吠え声が上がった。
聴く者を萎縮させるその咆哮を上げた二匹の“キラーウルフ”が、翼を広げるような陣形でこちらに迫る。
空いた中央を行くのは緑の肌の亜人、“ゴブリン”。
勇敢な、或いは無謀な突撃の後ろを、三体の生きた植物——“アルラウネ”が援護する。
一種の統制が取れた陣形。
草原に入った私たちは、いきなりの歓迎を受けたのだった。

私達が一旦水辺を離れた経緯については詳しくは割愛する。
一旦水辺から離れて状況を見定めたい、初日に出会って以来小まめに連絡を取り合っていたパーティと意見が合った、そのためミラルカを連絡に残したまま向こうのパーティとメンバーを一旦交換した、など様々だが、ネロと東の意向を受けて、というのが最も大きな理由だろう。
その“理由”を眺めて溜息をつく。
——キラーウルフ。エンブリオの一種であり、力仕事には強力な適正を持つらしい。
なるほど、前衛には欲しいモノには違いない。
逆に言えば、自分には到底必要のない代物ではあったが……

（……まあ、構わないか）

目を喜悦に輝かせ、口を微かに歪める。
前衛三匹の後ろに控える三つの獲物……その姿を捉える瞳が、紅く光った。

・・・

再合流したミラルカ・ハウダニットとの一幕

おわる。

　ありすはちょっと困ったような顔をしたが、すぐに何事も無かったかのように続ける。

キリリッ