《ポポロ、料理レベル1》



　最近、ポポロは料理にハマっている。

　しかしいつか言ったように、ポポロには食事という概念がない。生物の大半が行う、外部から栄養を摂取するという行為をしないその在り方は、ある意味で一個の生命体として極めて完成した存在と言えよう。
　また人間の感覚で言うところの「味覚」というものもない。
　このことから、ポポロ・ダンドリオンは料理という技術を習得するには致命的に向いていないということになる。
　少し考えれば誰でもわかることだ。
　食料を必要としない、うまいもまずいもわからない奴が、普通料理をしようなんて思わない。
　だからまあ、仕方の無いことなんだと思う。


　　　＊

　まな板どころか、台所が吹き飛んだ。

　道は険しく、はるか遠い。
　——ちなみに、千里とは約3900キロメートルほどである。
　神様にとっては、短いのかもしれない。

仲間達と移動し始めたところへ掛けられた声。
よく知った声とよく知った姿、そして、いつも元気からよく分からない印象に変わった相手だった。

最後に見た彼女は意識を失っていた。
そのため、以前と一見変わらない様子に一先ずホッとする。

質問された事には答える。自分から話を広げるつもりはない。
謝罪されれば気持ちも変わるかもしれないが、
今は彼女よりも考えなくてはいけない事がある。