(※あいも変わらず本編とはあまり関係ありません。
　 本編を書く日は戻ってくるのだろうか……
　 プロフの水着絵に関しては次回の更新近くまではそのままです。
　 絵日記をまた使う日は来るのだろうか。)

——パラパラと本のページを捲り続ける。
何度も何度も読み続ける。
一冊一冊に書かれていることは童話なだけあって少ない。
取るに足らない御伽噺。
とある魔女がその世界へと降り立ち、
旅をし、
様々な騒動に巻き込まれ、
時には起こし、
解決へと導いていくというものだ。
無論、全てが全てハッピーエンドとは限らないが、
表現も結末も、
子供向けにマイルドになっているので、
ハッピーエンドっぽくはなっている。
こういうのを読んでいると、
とうの魔女が何か立派で凄い人で、
何か自分でも勘違いしそうになりそうになるが、
基本的に当人である私は、
ただ自分のやりたい事を、
自分のやりたいようにしていただけである。
誰かの為にということも、
その延長線上にたまたまあっただけに過ぎない。
それでいて、
まぁ、よくも……とは思うが……
基本的にたまたま私が目をつけて、
関わりたいと思った人物に、
素質があったり、
元々凄い人だったりしただけだと思うのだが、
縁というのは恐ろしいものだと実感せざるをえない。
ここに書かれているのは全て事実。
ただ、全てを正確に記されていないだけというもの。
今、一つの新たな本を手に取ろう。
そこに刻まれていた一つの思い出を思い出すとしよう——

王子様を救って数日。
あの国で成すべき事も終わった私は、
魔女の呪いによって眠っていた姫の故国へと向かっていた。
もし何かあっても、
融通が利く可能性が高い以上、
のんびりとこちらの世界を楽しむために、
まず最初に向かうには適していると判断した為である。
厄介事に巻き込まれる事事態は別にいいけれど、
そうそう厄介事ばかりというのも、
のんびりする暇がなくて困る。
適度にのんびりして、
適度に厄介事があるのが都合がいい。
故に、大きな厄介事があった以上、
暫くはのんびり出来るように調整するのは当たり前だと思う。
問題があるとすれば……
基本的に私は誰かと旅をする事は出来ない為、
一人旅になってしまう事。
治安は悪くはないとは言え、
日本と比べるとやはり悪い為、
女の一人旅はそれなりに危険。
が、まぁ、どうせそれくらいの厄介事であれば、
私にとっては厄介事に基本的には入らないので、
のんびりと街道を歩いていく。
魔物等もいるけれど……
どうやらこの街道のあたりでは、
さして凶悪な奴等はいないらしいから、
一切気にしない事にした。
もし出たとしても人を相手するよりある意味楽だし。
宿に泊まらないのに、
今の所何事も無く進んでこれたのは、
きっと私の日ごろの行いがいいせいだと思う。
まぁ、最も、
見慣れぬ衣装を身に纏い、
堂々と少女が一人歩く姿が、
魔女なのかもしれないと錯覚させているから、
襲うに襲えないなんていうオチがあるかもしれないけれど。
まぁ、ともあれ、
もうじき隣国といった所で、
不意に前方から騒がしい声と音が届いてきた。
道から少し離れた所から聞こえる
それに、
私は心引かれ、
少し覗き込んでみると——
数人の野盗らしき人間が、
馬車を襲っている姿がみえた。
馬車を護るように対峙している三人は、
恐らくは護衛……といった所だろうか。
二人は防戦一方ではあるが、
中央にいる一人は、
一人、また一人と野盗を屠っている辺り、
他の連中に比べて、
熟練し、格上なのだろう。
そのお陰か、
野盗はあっという間に鎮圧されていく。
逃げればいいのに、
逃げない所からすると、
野盗としても引くに引けないといった所なのかもしれないが……
プライドより命だと思うのだけどね、
などと考えてるうちに、
最後の一人がナイフを取り出し投げようとしているのに気付いた。
まぁ、どうせ投げた所で、
あの護衛に防がれて終わりだろうけれど、
まぁ、変な所にナイフが飛ぶかもしれないし、
援護する事にする。
手近な石を手に取り、
頭目掛けてなげた石が、
——ゴスッ
と鈍い音と共に最後の野盗にあたる。
大して効いてはいないようだが、
一撃を受けて私の方を向いた所で、
護衛の男に斬りふせられた。
当然の事ながら、
別に姿をかくしているわけでもないので、
私の姿は丸見え、
誰が石を投げたかも一目瞭然。
護衛の男は私に気付き、
驚いた表情をみせたので、
私は彼に向かって微笑みかけた。

——その日も退屈な護衛は続いていた。
野盗がでる噂はあったが、
この国では恐ろしい魔女が住んでおり、
さらにその魔女が騒動を起こしたばかり。
が、
火事場泥棒の如く賊が蔓延るかといえば、
その逆だ。
ピリピリし張り詰め、
警戒が強くなり、
危険な人物がいて、
状況が長く続けば戦争すらもありえる——
そんな国で活動をするような盗賊は、
よほど疎いか、
或いは、余程の力と地盤をもっているか。
幸いにも、このあたりで後者のような盗賊がいるとは聞いた事がない為、
正直、俺にとっては物足りないものだ。
他の二人の護衛にしても、
実力はさほどでもないが、
時間稼ぎできるだけの十二分の実力はある。
後は警戒を怠らず、
不意打ち、特に矢に気をつけておけば問題はない。
とはいえ、
「ゆっくりし過ぎたのが響かないといいんだけどな——」
こう一人ぼやいてしまうのは仕方ない事だと思う。
本来ならばこの国を出ていたはずなのだが、
予定より行程にズレがでて遅れている。
その分の金は貰っているから別に構わないのだが、
そろそろ、盗賊共の流入があってもおかしくない事を考えると、
何か厄介事が舞い込んでくる可能性は否めない。
あったらあったで仕事をするし、
暇からは解放されるが、
護衛対象が危険にさらされ、
万が一を考えると、
あまり歓迎出来る事ではない。
ある程度の奴等なら退ける事はできる自信はあるが、
絶対ではないし、
ある程度で済むとは限らないのだから。
……ま、今回の事に関していえば、
決して予想出来る事ではなかったし、
悪い事というか、むしろ喜ばしい事が発端である。
この国の最強といわれていた魔女が打ち倒され、
王子が帰り、
姫が目覚めた。
お陰で隣国との緊張した空気も弛緩し、
通行が楽になったものの、
暫くのお祭り騒ぎのお陰で、
品物が売れに売れて、
中々出発出来なかったというものである。
依頼人としては商売的に上手く行き過ぎて、
俺達に対して、御祝儀だといって特別ボーナスが出たから、
喜ばしい事だし、
ぼやいた事に関しては最悪のケースを想定した場合の事だから、
まず、警戒するほどの出来事はありえないだろう以上、
しめしめといった感じではある。
ただ……
それゆえに、気が緩みっぱなしなのはどうもよくない。
こういう気が緩んだ時に限って——
ガタンと、馬車か揺れ、
外から声が聞こえる。
「金目のものを出しなぁ！
　たんまり溜め込んでやがるんだろう？
　女がいたら女も出せ！
　こっちには十人いるんだ。
　へへへ、
　大人しくいう事を聞いておいた方が身のためだぜぇ？」
どうやら、休息は終わりらしい。
ここからは俺のお仕事の時間のようだ。
それにしても、なんで賊って奴は同じような口上を述べるのか。
もうちょっと個性があってもいいんじゃないかとおもうが、
個性があるような賊は大体厄介なのしかいないので、
お仕事的には嫌なものだが。
楽できるなら楽できたほうがいいに決まっている。
強い奴と戦うなら、
護る相手がいない時の方がいい。
「俺が後ろを護るから、前から進入されたり、
　馬車に張り付かれないように守りに徹してくれ。
　倒せる奴は倒していいが、
　無理はするな。」
『了解。』
馬車から出て外で賊を牽制している二人に指示を出す。
指示を聞いてすぐさま返事を返し、
いわれた通りの事をする辺り、
優秀だと思う。
自分の意見と意志をもって戦うにはまだ早い。
それを自分でも自覚している証だと思う。
だからこそ、
俺もやりやすいし、
自分の仕事に集中出来る。
全く。
「やれやれ、運に恵まれ過ぎている気がするが……
　後でぶり返しとかこねぇだろうな？
　おっと。
　お前等の要求を聞き入れる気はないな。
　どうしても要求を聞き入れたいなら俺を倒してからにしな。
　俺を殺せば全てが手に入る。
　単純な話だろ。おい。」
剣を構え賊を挑発する。
そんな俺の大胆不敵な様子に、
「お、おい、どうする？
　なんか強そうな奴が出てきたぞ。」
「こ、ここまで来て引けるかよ。
　あいつらが金を沢山もってるのは分かってるんだ。」
「いくら奴が強くても、
　こっちにはあいつらより大勢いるんだから、
　どうにかなるんじゃないか？」
「そ、そうだな……
　１０人もいるんだもんな、
　それに、あいつと護衛の二人しか戦える奴がいないなら……」
ひそひそと相談を始める賊達。
予想通りというかなんというか、
こちらに聞こえる声で、
そんな頼りない事を相談している辺り、
やはりたかが知れている。
弱小の盗賊団か、
賊になって日が浅い連中だろう。
かといって、
賊になった連中に慈悲を与えるほど俺は優しくない。
近くにいた賊の懐に飛び込み、
剣を一閃して両断する。
ぽかんとしたまま何の反応もなく死に行く賊には目もくれず、
剣を構えて残りの連中を威圧する。
「で、次にこうなりたいのはどいつだ？
　死にたい奴から掛かって来い。」
ここで引いてくれたらいいのだろうが、
考え無しの賊の連中。
臆病風に吹かれて逃げればそれでよし。
だが——
「あ、アンディ！？
　くそ、お前等！
　あいつをやれ！
　残りの護衛を一人ずつで抑えて、
　残りでやれば……！」
「そ、そうだ！
　まだこちらの方が数が多い！
　やるぞ、やってやる！」
目先の欲に狂い、
状況も読めない馬鹿につける薬はない。
となれば、やることは一つ。
「ああ、全く。
　こうなったら全員倒してやるよ！」
地面を蹴り上げ土を奴等の目めがけてぶつける。
どうせこいつらにそれを対処する能力はない。
「わっ……ぷ……！」
「ぐぁっ！？
　目が……ッ！」
目をこすり動揺している隙に近づいて剣で斬りながら、
脚払いで２、３名こかしておく。
体勢を整える前に決着をつける。
もうちょっと手ごたえがあってもいいような気もするが、
素人に毛が生えたようななんちゃって盗賊団相手ならこんなもんだろう。
残りの二人も、
俺が盗賊を蹂躙して動揺した盗賊を斬り伏せている所からすると、
全くもって問題はない。
さて、残るは腰を抜かして倒れている一人だけだが……
と、最後に残っている賊を見る。
怯えて震えているが、逃げる意志は感じられず、
震える手で懐から何か煌くものを取り出そうとしている。
良く見るとそれは短剣。
何か液体のようなものが塗られている事からして、
恐らくは毒の短剣だろう。
あの体勢から振る事は出来ないだろうが、
投げる事はできる。
全くもって厄介な。
今から剣を振るって殺そうにも少し時間が足りない。
防ぐか？
恐らくは問題なく防げる。
そんな考えが頭を過ぎった時、
事態は急変する。
——ゴスッ。
不意に横から飛んできた石が賊の頭に当たる。
どこから？
と飛んできた方向に目をやる賊の隙をついて、
賊を剣で両断し、周囲を警戒する、が……
他に賊はいないようだ。
見えていた連中で全部らしい。
ここで伏兵がいるかもと思ったが、
案の定、杞憂だったようだ。
が……
賊、では無いが明らかに場違いというか、
良く分からない存在がこちらを見ていた。
どうやら石を投げて助けてくれたようだから、
恩人ではあるみたいだ、が……
黒い髪紅い目の少女。
年は丁度１５かその辺りだろうか。
女の色香が出てき始めるくらいの年頃。
背はそこそこあるように見えるが……
見慣れぬ黒衣を纏ったその姿は一瞬、
死神か魔女であるかのように見えた。
妙に堂々とした佇まい。
戦えば勝てるだろうが、
全く勝てる気がしないという不思議な感覚。
一体何者なんだ？
敵ではないようだが、
とずっとみていると、
にこりと俺目掛けて微笑みかけてきた。
それはいい。
敵意はないのだろう。
だが、
なぜか知らないが心の底で逃げろと警鐘が鳴っている気もする。
そんな俺の心の葛藤を知ってか知らずか、
そのまま俺の方へやってきて彼女は告げた。
「このまま国境を越えるなら、
　超えるまでご一緒してもいいかしら？
　女の一人旅というのは危険だし、
　こんな賊の人達がいるんじゃこの先がちょっと怖いのよ。」
と。
「……雇い主に聞いてみる。」
その言葉に俺はそれだけを告げた。
……思わず、
そんな必要ないだろうと告げてしまいそうになったが、
自制した俺をほめてもいいと思う。
この女はただものではない。

プシュッとラムネの玉を押し込んで手渡します。

臨死体験と慨死体験は見た目は同じでも当人にとっては雲泥の差というか、河の向こうとこっちの差で感覚の違いが大きいらしいです。

どっかの禰宜さん『…すまん(・ω・)』

帰還説得(？)がちょっぴり進歩

姿は見えぬが袋が膨らんでガサゴソ揺れてる…

身体を大きく伸ばし、衣服を翻す。

深々と一礼し、小走りして去って行った。

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目線を外し、暫し考えるように腕を組み。