ぶつぶつと小言を呟く。

のっけから話の腰を折るアムルイ。
交渉術なのか天然なのか。きっと後者だろう。

名声が欲しくないわけでも、目立つのを嫌うからでもない。
そういったものとは違う理由から、彼女は自分では不適格だと告げた。

まとめ役になれる人物は確かに必要だし、考えなくてはならない。
しかしそれが英雄や傑物といった、たった一人の個人であってはならないのだ。
今までとは違うことを示すためにも、トップには複数人が必要なのだ。

だからまとめ役にはなれないし、なってはいけないのだと言う。
ともすればそれは、無責任にも見えるだろう。
だがこれは、自分のための行いではない。
国と民にとって何が最善であるかを考えれば、彼女はまとめ役にならない方がいいのは自明の理だ。
しかしだからと言って、単純に覚悟がないわけでもない。

故にその道を、何が阻むとしても。

それこそが彼女の覚悟。
己は道の礎であり、道の先を作れる器ではないと知ってなお、そのために戦うと言う。
だからこそ彼女は君を、その他多くの仲間を求めた。

それでもなお目指すのは傲慢か、それとも夢想か。
足りないものを補いながら、彼女は進み続けるだろう。
たとえその先に、彼女自身の幸福がないとしても。

自信満々の文に完全に乗せられてるロックであった。