前回の採用D.o.D.：シェリー(607)DoD 2D6 = 7 ( 2 5 ) 部位 2D6 = 11 ( 5 6 )

D.o D.：［2D6］
-8：全ての支払いを請求される。次回更新時アイヴォリーは死亡する。
-7：いずれかの部位を欠損する。永久に該当ペナルティを2倍量受ける。
-6：いずれかの部位の末端を欠損する。永久に該当ペナルティを受ける。
-5：いずれかの部位を派手に損傷する。適切な処置が施されるまで部位表のペナルティを3倍量受ける。
-4：いずれかの部位を損傷する。適切な処置が施されるまで部位表のペナルティを2倍量受ける。
-3：いずれかの部位の末端を損傷する。適切な処置が施されるまで部位表のペナルティを受ける。
-2：いずれかの部位から出血し続ける。適切な処置が施されるまで部位表のペナルティを受ける。
-1：いずれかの部位から派手に出血する。次回更新時、部位表のペナルティを2倍量受ける。
0：いずれかの部位から出血する。次回更新時、部位表のペナルティを受ける。
1：いずれかの部位から多少出血する。実際の影響はない。
2：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
3：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
4：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
5：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
6：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
7：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
8：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
9：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
10：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
11：運命調律者の気紛れ。今回は支払いは行われない。ただしこの項目は消失しDoDスケールが進行する。
12：意志の力で運命を抑え込む。DoDスケールをひとつ押し戻す。

部位表［2D6］
2：精神。次回DoDロールを-1で判定する。
3：頭部。戦闘設定の枠をひとつ封印する。
4：目。成長枠をひとつ封印する。
5：耳。クライマックススキルが使用出来ない。
6：口。食事が出来ない。
7：鼻。アイテムが使用出来ない。
8：胴。GPを-3する。
9：脚。対象指定が使用出来ない。
10：腕。必殺技が使用出来ない。
11：意志の力で損傷を無視する。今回のペナルティは適用されない。
12：意志の力で損傷を回復する。欠損以外のペナルティをひとつ回復する。

　傍らで重たい音がして、アイヴォリーの横に薪が投げ出された。そのお世辞にも丁寧とは言えない置き方にしては、薪自体は丁寧に切り揃えられている。本来の彼女の性質がそうなのだろう、と今ではアイヴォリーはそう理解していた。
　彼女たちと出会ってから数日、今ではそれなりに役割分担が出来あがっていた。役割といっても、初めの頃に完全に死に体で自らのことすらする様子がなかったアイヴォリーが自分の得意なことを中心に日々の雑事をするようになったに過ぎないのだが。
　竃が概ね組みあがったところで、アイヴォリーはふと息を漏らした。自分の背中に何かを問いかけるようにして視線が向けられたままだったからだ。彼女の表層を覆っている仮面の如く、その生来の性質が十分に横暴であってくれるのであればそういった気遣いも必要ないのだろうが、こればかりは仕方がない。案の定、アイヴォリーの作った“隙”に彼女は割り込んできた。

「致命傷を何度も受けてきているのなら、今すぐに死んでもおかしくないのに、お前はなぜ加護を失ってもまだ生きているの？」

　まぁもっともな問いではあった。妖精騎士として生きていた時間の長さこそそれほどではないものの、アイヴォリー自身が彼女にそう告げたように、妖精の女王の加護によってアイヴォリーは幾度も命を救われている。それは返して言えばその加護がなければ何度か死んでいてもおかしくなかった、ということだ。つまりは女王にその致命傷を預けることでアイヴォリーは生き延びたのであり、その返済を求められるであろう現在となってはそれは早急に遂行される類の代物だ。簡素に表現するならば今この場所で全ての返済を求められて全身から血を吹き出して死んでも何らおかしくはない。実際、アイヴォリーが伝承で知る妖精騎士の中にはそうした最期を迎えた者がある。むしろ、伝承の妖精騎士たちは“初めての一人”と呼ばれる男と他に極僅かを除いては一律にそうした結末を迎えていた。妖精とそれを護る者との関係が果てしなく続く方が難しいのだ。
　少しの間、沈黙があった。それからアイヴォリーは、いつもするようにして片頬を吊り上げた皮肉な笑みを浮かべる。

「オレはシーフだぜ？
　人のウラをかくコトにかけチャ右にも左にも出るヤツはいねェんだよ。
　……護られてるワケじゃねェ、呪われてるんだろうさ。ソレでもな、オレはソイツのウラをかいてヤるぜ？」

　確かにそれは真実だった。彼の神であろうあの緋色の男に、アイヴォリーは呪われている。どこの世界でも普遍的に存在する妖精の女王という存在よりも、運命を書き換え全ての世界に干渉するあの魔術師の方が上位である、というだけで今彼は即座に返済を請求されずに済んでいるに過ぎない。
　アイヴォリーの心にもう少し余裕があれば、そしてシェリーに対してもう少し信頼していれば、“玩ばれている”と彼は告げただろう。そう、あの手品師が常にアイヴォリーにそうしてきたように、恐らくは今のこの段階も同じなのだ。生命を超えた存在に対する危機に直面したこの状態で、与えられた運命をどう処理するのかを観察するという実験。それはアイヴォリーの側から見れば不条理に訪れた試練であり、そういった意味では彼の神は常に苛烈だった。
　とはいえ、最後のアイヴォリーの言葉にしてみても、口から出まかせを言った訳でも、唯の強がりでもない。一度そうと決めたからには、どうやっても、どんな手段を用いてでもアイヴォリーは生き残るつもりだった。目の前のエルフの少女やその相方である妖精、同じ世界で肩を並べて戦う老ドワーフ。そしてあのとき確かに彼に生きることを命じた湖のような瞳。それら様々な者たちの要請に応えて、生き残るつもりだった。
　ふむ、と鼻息の音だけがアイヴォリーの言葉に答えた。納得した訳でもないのだろうが、とりあえずこの場の答えはそれで足りたらしい。深入りすることでもなければ無理に聞き出すことでもない。そもそもアイヴォリー自身、どう答えて良いのかもはっきりしていないのだからどうしようもないのだ。
　聞きたいことが聞けたかどうかはともかくとして、会話が途切れたところでアイヴォリーは作業を再開した。そもそも竃は料理を作るために組んでいる。これでようやく本題にとりかかれるという訳だ。既に準備しておいた食材を鍋に入れ、シェリーが集めてきた薪を竃に放り込む。
　そこで、まだ何か言いたいことがあったのか、シェリーが背後から口を開いた。

「人間……肉は入れないでちょうだい。」

　一瞬何のことを言われているのか分からずにアイヴォリーは手元を見た。鍋に放り込もうとしていた魔物の肉に気が付き、彼女に見えない角度で苦笑を漏らす。エルフと一口に言っても、彼らは住む森ごとにその特性は大きく異なっている。別の種族ではないが別の部族であるのは間違いない。アイヴォリーがひととき滞在した村では森の恵みとして享受する兎や鳥などを口にしていたものだが、動物たちとの結びつきが強く木々の恵みが豊かな森であれば動物類を口にしないということもあるだろう。

「ヤレヤレ、仕方ねェな。」

　小さく口の中で呟いて、少し思案する。食事の様々な面から言えば肉を入れる方が効率も栄養のつり合いも良いのは間違いない。肉は活力を与えてくれるし傷や疲れを癒す力を高めてくれる。思案の結果、以前に見つけて乾燥させておいた豆を鍋に空けた。豆類は肉が調達出来ない地方や時節にその代用として用いられることが多い。それは栄養の面でも近しいからだ。とはいえ、アイヴォリーまでがずっと豆を食べ続ける訳にもいかないから、明日からは鍋を分けて作る必要があるだろう。
　そこまでを考えたところで、アイヴォリーはまたひとつ息をついた。こうして何かに没頭出来るというのは幸せなことだ。それはひとときであっても自分の喪失感から意識を遠ざけてくれる。それは戦闘のように破滅的な作業であっても、料理のように創造的な作業でも同じこと。
　だが、それでも。何かを壊すような作業よりも、こうして必要な創造を行っている方がずっと良い。だからアイヴォリーは、それを役割のひとつとして割り当てた今の同行者に細やかに感謝していた。



D.o.D.： 2D6 = 6 ( 5 1 ) Parts： 2D6 = 2 ( 1 1 )

　　差し出された焼き菓子によるノイズ　→　【 2D6 = 6 ( 1 5 ) 】　【 2D6 = 6 ( 5 1 ) 】