物置の中に居た。
戸の隙間から差し込む僅かな光のほかに、物にあふれた暗いこの空間を照らすものは無かった。
少しじめじめするけど、ここは嫌いじゃない。
昔から嫌なことがあったときは時々ここに座っていた。
今日は少しも落ち着かないけど、お兄ちゃんにしばらく家に入らないように言われたから
ここでただ縮こまって蹲るしかなかった。
仕方ない。
今私が家に居たって何もできない。
それにきっと私は泣いてしまう。
そしてお医者さんやお兄ちゃんの邪魔になるんだろう。
仕方ない。だけど。
これでお別れになるのは、あまりにも悲しくて。
気が付いたら立ち上がって物置の戸に手を掛けていた。
光が広がる。
外は曇っていてあまり明るくはなかったけど、今の私にはそれがひどく眩しくて。
眩しくて。悔しかった。
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