王城に着いたはいいけど、流石にそのまま参加できるわけじゃなかった。
片目に大きな傷跡を持ったラルフさんと手合わせをして、なんとか認めてもらえたみたい。アウローラもやったじゃない、って嬉しそう。
戦ってる時のラルフさん、雄叫びがすごかったなぁ。
赤毛の女の子のルリアンナさんも、戦いはしなかったけど…気合十分って感じだったし。

世界の渡り方を聞いてみたら、あんまり詳しくはないけど、と少し教えてもらえた。
その中で、私がこの世界に来た原因は、転移魔法か世界の歪に落ちたのではないか、はたまた別の何か…ということ。
転移魔法も、条件が重なることで起こることがある。
結局、どれも可能性でどれが原因かは分からない。
だけど私が力をつけることで、私自身が転移魔法を使えるようになるかもしれない。
2人に見送ってもらって、もう一度、森に行くことにした。


途中、来る前には気づかなかったけど、また見たことない何か…毛玉を見つけた。
その毛玉は1つじゃなかった。
よく見ると大きい毛玉と、すぐそばに小さな毛玉が1つ。アウローラ曰く、アニマというらしい。
アニマたちはやせ細って、大きい方は…もう、動かないみたい。小さい方も、片手より少しはみ出るくらいの大きさしかないのに、やせ細って小刻みに震えてる。

もう、生きられないだろう。

そう思っていると、アウローラがどうする？契約する？なんて聞いてくる。

そうだった、契約すれば、アニマは生きながらえることができる。
私の命を少し、分け与えるだけで。
私はまだまだ弱い、知らないことばかり。
少しでも力が欲しい———例え、小さな命を利用することになっても。

どくどくと耳の奥で響く音に、ひやりとする胸の奥に気づかない振りをして、私は小さなアニマと契約した。
触れた途端、きゅんきゅんと力を振り絞るように鳴き出したアニマと。

暫く鳴き続け、疲れたのかアニマは眠ってしまった。
それからまた森へと向かう。

森に入ってすぐ、フェアリーを見つけた。
と思ったら、ピクシーだって。アウローラが全然違うってすっごく怒る。
だって、アウローラと似てたから…。

でもこっちに気づいたピクシーも警戒してる。
ピリリとした気配を感じて、慌ててアニマを離れた、でも被害のなさそうな所に置いてすぐに離れる。
ピクシーの狙いは私だ。
アウローラがアニマの傍についているのをちらりと見て、私は杖を握りしめた。

　　　△　　土　▲
　　（　㊤　皿　㊤）　　がしゃーん
　　（　　　　　　　　）　　　　　　
　／│　　塊　　│＼　　　　　　　　　がしゃーん
＜　　＼＿＿__／　　＞
　　　　┃　　　┃
　　　　＝　　　＝

（そう呟いて、その少女は小さく息をついた。こん、と手で双剣の柄を叩く。）