一揆に参加し始めてから22日目。
時風たちに話をしてから2日目。
私の前に姿を現したエンブリオたちは、誰一人欠けることなくそこにいた。

「……逃げないんですか」

ぽつり、と小さく呟く。
時風は私の目の前までやってくると、悪戯っぽく笑みを浮かべた。

「死火が残るって言ってたからね。エンブリオのリーダーの私が逃げるわけにはいかないでしょ？」
「……いつからリーダーになったんですか、時風は」
「槿花が仲間になったときからだね！」

えへん、と胸を張る時風の隣で、槿花はくつくつと笑う。

「一瞬抜けようとも考えたのじゃがのぅ、主様と時風には恩がある。その恩返しをせねばと思ってな」
「わ、私も！玉藻から名前を貰ったご恩があるもの！」
「お前は面白そうだからなぁ。もうちょっと一緒にいてやるよ」

祓と血玉随も槿花に続く。
冬青はわさわさと身体を揺らしていたが、どうやら皆と同意見のようだ。

「……全く……変な奴らですよ、貴方たちは」

がしがしと頭をかきながら、ぽつりと呟く。
まさか全員残るとは思っていなかった、けれど皆残ってくれたことを心のどこかで喜んでいる自分もいるわけで——。

「……ありがとうございます、みんな」

小さな声で、私はそう呟いた。