アシェラッドさんに案内して貰い、ランさんと3人で地下牢に潜る。
内部はとても広く、きっと僕一人で入ったら確実に迷っていただろう。


体調は万全だった。地下牢に入るまでは。
鉄格子や石造の壁床が視界に入ると今までにないくらいひどい眩暈と動悸がした。
心配をかけてしまったし、アシェラッドさんにはハンカチまで借りてしまった……
情けない。けど、ありがたい。

ランさんは何だか尋常じゃない様子だったので、僕と同じように体調が悪かったのかもしれない。
地下牢からは奇妙な気配がしたから、それに当てられたのかも。
自分のことで手一杯で、ランさんを気遣うことが出来なかったのが申し訳ない。


牢の敵に全く歯が立たなかったから、弱気だ。
僕が今日、ヴィーヴルの餌にならなかったのはアシェラッドさんのおかげ。
もっと強くならなければ。

ちらちら、ハンカチを見る

いつものノリより大人しくそそくさと離れていった…
去った後に妙に不穏な空気だけが残っていた。

　多頭の蛇に腕をかじりつかれるのも意に介さず、
　間を置いて蛇を一頭一頭ちぎり捨てている仮面の者の姿がある。