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　タンポポ荘　夜　クーリアの自室前
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　ぱたん、と扉が閉じられて、クーリアの姿が見えなくなる。

　話しかけると、いつものように笑って返事をしてくれる。
　それでも、どこかやっぱり変なのだ。


　そういえば、この間の攻城戦の時、疲れていたようだったから、「大丈夫？」と声をかけてみたら、少し慌てた様子で、「大丈夫です」と笑って返したことがあった。

　なんだか、無理に笑顔を作ってる気がしてならない……


　考えれば考えるほど、嫌な考えが頭に浮かんでしまう。
　クーリアちゃんに何かあったら…私……

　これ以上考えたくなかった。
　明日になれば、クーリアちゃんもまた元通りに、元気におはようと言ってくれるはずだと
　そう信じたかった。


　そして、シャルロッテがクーリアの部屋の前から離れようとしたその時。





　——ドタリッ

　何かが落ちたような、鈍い物音、クーリアの部屋からしたようだった。

　さっきまでの不安な気持ちが再び湧きあがる。



　
　部屋のドアをノックする。返事はない。




　なんだか





　胸騒ぎがする——

　恐る恐る、ドアノブに手をかける。
　鍵はかけられていなかった。

　シャルロッテがドアを開き、ゆっくりと部屋の中へ足を踏み入れると、そこには…

　部屋の真ん中で、クーリアが血だまりの中に倒れているのが見えた。

　駆け寄って、身体をゆすってみるが、返事はない。
　クーリアの身体を起こすと、その口からだらりと血が垂れた。

　頭の中が真っ白になった。
　いったいなにがあったのか、クーリアちゃんは大丈夫なのか、私は何をすべきなのか…
　なにひとつ考えが纏まらない。
　クーリアちゃんはこのままだと…どうなるの……？

　何もできないまま座りこんでいると、騒がしい足音が、この部屋に向かっているのが聞こえた。

　サフィニアはシャルロッテの横に屈むと、クーリアの身体を抱きかかえ、少しその様子を見ると

　と告げた。


　それを聞いて、安心できたわけではなかったが、張り詰めていた緊張の糸が途切れたようにシャルロッテはその場にへたりこみ、ぽろぽろと泣き始めた。

話が終わるころには、クーリアちゃんも目が覚めると思うわ

※日誌より前の時間になります。

　本当によくわかっていないらしく、その様は大人に質問する幼児のようだ。
　……ちょっとスキンシップしすぎな気もしなくはないが。

　このあと滅茶苦茶すりすりした。



　数分後。

　クーリアから離れるポポロの肌が、やたらテカテカしてるのは気のせいだと思いたい。

　本当にわからない、といった風に首を傾げるポポロ。

　そう言って、ヘロヘロになってるクーリアの手をがしっと握る。

　——なんだかいい話風になってる。
　しかし、手を繋ぐどころか無理矢理抱きついた奴が言う台詞ではない。

　そうしてポポロ・ダンドリオンは、やりたい放題やって、嵐のように立ち去るのだった。

　

（好きな奴が不調だったら流石にわかるってばよ。）