整った嘘のほうが、水気のある真実より上等なのだ。

　久方ぶりに全員の顔をみた気がする。
　まあ、私もこんな雇用の形になってるから、またあちこちへ回ることになるのだろうが。
　すぐ離れちゃうのは少し寂しいな。

　また別行動する前にオオガミ殿の料理を目一杯頂いておこう。
　なんていうか彼、ちょっと変わっているというか。うどんしか作らないんだ。
　美味しいんだけど、何で酒とかの材料でうどんなんだろう？　メルンテーゼの調理法ってどうなっているんだろう？

　加味されたうどんも泡だってるし、これ、食べていいものなんだろうか。
　ラフカディオ殿やカマック殿は毎回こういうの食べているんだろうか。
　……ちょっと不安だ。うどん自体は美味しそうなんだけど。

　しかし、ここの森は少し嫌だな。
　自分が責められているみたいで、なんだか。
　気のせいだよね。

そう言って、表面のつるつるした部分を撫でている。…見た目は美麗に磨き上げられた宝玉なのに、暴れん坊だったり、じゃじゃ馬だったりするようだ…

小首を傾げながら、すごく表現しづらそうにしてる…！

苦笑いを浮かべて、肩をすくめた後、
表情がふっと消えた。

ナスルの一際大きな声が響きわたる。
ネイベールは言葉を失い、迷うように身を揺らがした後
・・・
ぎしり、と歯を軋ませた。


ゆっくり、大きく息を吸うと 搾り出すように細く長く吐く。

肯定するとも否定するとも言えぬ言葉で濁した。

ナスルの口から細い炎が出る様子を見て目を輝かせる。

くしゃみと同時に飛んだ炎に少しのけぞる。

　片方の拳をもう片方の掌に打ち付けて、ナスルは気合を入れている。