雨が降っていた。
まるでこの世の終わりを夢見るかのような雨が。
泡沫を掻き集めて必死に擁いて、それでも溢れて零れて。
ぽつりぽつり、ぱたりぱたり、飛んで跳ねて墜ちて消える。

……ああ、そんなものだ。結局はこの世の全てはそれだ。
空を見上げたって、首が痛くなるだけだもの。
まして、こんなところに生まれて。
こんな風に生を享けて。
それでどうして、そんなに往こうとするんだい。
その先に何があるかも分からず、
そもそも先を見据えるための片目だって、その有り様で。
どうして、そんなに進んで暗闇の爆心地に飛び込もうとするんだい。
ここで　ここでこうして、夢見ているくらいが楽なんじゃないのかい。


そう　そうだね

　　……それで、何か変わる？　


変わらないさ。そうやって無謀に身を浸さなければ。
けれどそうしてまで、手放す必要は——


　なら、行くしかないでしょっ。


（——ああ、君は、笑って、）

（つぶれて、きえた）




————．．．＞＞

　　　　　——ずきり。右の目が、痛んだ。

　　　　　　　　　　　　　　　＜＜＜．．．————