人間は未知を恐れる。
光届かぬ闇を恐れる。
その恐怖が妖怪を、都市伝説を生む。

未知が消えた時、恐怖と共に怪異も姿を消すことになる。
しかし——
しかし、都市伝説には知ってはならないものがある。
それは人間の理解を越えた存在だ。

田園の彼方に何かが見える。
あれは何だ？　カカシか、それとも人影か。
勝るのは未知への恐怖か、好奇心か。
もし、その正体を知ってしまえば気が触れる。
人間の脆弱な精神は、その恐ろしいモノを受け止められない。

好奇心は猫をも殺す。人をも殺す。
恐れる心を忘れるなかれ。

………

むずっと、自分よりは小ぶりの胸をわしづかんだ

こっくりさんの腰に手をかけつつ

ふと、注がれる視線に気付いて其方を向いて。
そこにたしかに『居る』何かしら迷っている様子の女性
——その存在はどこかゆらぎがあり、蜃気楼の様でもあるが——
へと、声をかけた。

そっちの方向の『迷う』で無い事は
重々承知しているけれど、念の為。