「お前綺麗な目の色してるな」


誰かの声が聞こえる。

大好きだった、あの人の声。


「……？ 見たことないから分かんない」
「あ？ あー……まああんな生活じゃ当たり前か。赤だよ赤」
「赤……血の色？ おじさん血好きなの？」
「別に血は好きじゃあねぇし綺麗だとも思わねぇが……お前の目の色は綺麗だ」
「ふーん？ ……おじさんこそきれいな目。きらきら」
「————か？ そうかねぇ言われたことねぇが」
「うん。————、きれい」
「……そうか、ありがとな」


軽く頭を撫でられる。

頭に置かれた手が温かい。


太陽みたいな人だと、ずっと思っていた。


だから————


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「————……」

「……夢、か」


ひどく懐かしい。


自分がまだ子供だった頃。

世界の全てが灰色と赤に染まっていた頃の記憶。




——彼の、瞳の色。
たった今、夢で確かに見た。見えていた。
なのにアレが本来何の色をしていたのか、わからない。


時間が経ったからだけじゃない。

あの時は確かに輝いて見えていた。

世界の中で唯一、きらきらと輝いていたはずなのに、
夢の中での彼の瞳は



——ひどく、色褪せて見えた。