「よ、よく来たわね一揆の連中ッ！！
私に見つかったからには、に・・・逃がさないんだからッ！！」
「・・・フロラ、下がれ。
私が相手ヲする。私が望ンだことだ。」
「なに言ってんの！？
望みの大元は私のことよ！！
黙って見てなんていらんないわ！！」


僕ら二人の目の前でそんなやり取りが繰り広げられる。
僕はというと、この二人が姦しく
（厳密には女の子の方が主に一人でまくし立てている）
喋っている間、完全に置いていけぼりをくらっているので、
「ああ、またよく事情が飲み込めないまま
戦うことになるのかなぁ。」
などとぼんやり二人のやり取りを眺めていた。

……先日の水辺の二人組といい、
この世界の人たち好戦的すぎる。


目のやり場に困ってふとそばがきちゃんを見ると、目があった。
彼女も同じ状態だったらしい。
小首を傾げられたので、少し肩をすくめて返した。

口振りからして、彼らにも何か事情はあるんだろう。聞けてないけど。

それでも僕らも引くわけには行かない。

勝ち負けでしか決められないというのなら。
互いに譲れず引けないのなら。

二人組がこちらに向き直る。
先ほどまで睦まじいのやり取りは何処へやら。
二人ともが苛烈な瞳で、僕らを見据えている。

短刀を収めたホルダーに手を伸ばす。

あとはもう、押し通るまで。