釣りというのは実に楽しいものだ。
水面に糸を垂らしてのんびりと日向ぼっこをしつつ、あとは魚がかかるのを待つだけでいい。
いや、一応ちゃんと魚の気配を読む努力はするけどさ。
待ってる間に釣った魚をどう料理するか考えたり、武器屋で見かけたいい槍や剣を思い出したり、水面で時折跳ねる魚の水音を聞きながら何も考えずにウトウトしたり、のんびりできる時間と言うのは実に楽しい。


ただし、この時に考えるのは楽しいことや面白いことがいい。
自由に自分の時間に没頭できる分、逆に面倒なことは考えたり思い出さないほうが良い。
面倒くさかった仕事のこととかね。
深く潜れる分、楽しいことでもそうじゃないことでも、どんどん深く深く沈んでいく。
気が晴れない時は、何も考えないでボーっとしながら釣り糸を垂れているのが一番だ。







ここ最近は釣堀での調子がいいので、釣れた魚をそろそろ調理したい。
こういうことを考えるのは楽しくていいことだ。

　｜彡

コロとの距離を必要以上にとって警戒している。

また一瞬、空気と人が変わったようにそう呟く。

どうあっても太陽の光がなければ育ちえない熱帯に咲く植物等がそれにあたる。
古今東西、あらゆる植物の『データ』を所有するからこそ。
人並み程度には詳しい心算。

食いついた。

彼女はくすくす口元を抑えて笑っていたが、はたと息をつく。

それは本当にうれしいんだけども。フクザツな心。
子供っぽい悩みを抱える彼女は、それを考える限りどこまでも子供になりそうだった。

倒れ伏したまま、ヴァルに聞こえない程の小声でエンブリオの名を結び、指先をくいと動かす。
そうしてから、何事も無かったかのように立ち上がった。
高笑いしてる彼の片足首にこっそり巻きつこうと、草の蔓が音も無く伸びる。

頭を振るヴァルの胸板にストレートパンチを繰り出す。

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頬の刺青を確め、ヴァルに頷きを返す。

目的を問われると、眉を上げて首を横に振る。

卯の花腐しはあっさり犯人を供述した。

可愛らしく吐き出された火に微笑んだが、
次の瞬間、頭の中で響いた声に幾度か瞬きをした。

ちょっと笑ってから、ふと考え至ったように真面目な表情になって、
籤、と自分の言葉を繰り返した。

　あるいは下手をすれば現在よりもひどい泥沼となるおそれもある。

今何歳、と言われて、

相変わらずはっきりしない返答である。

本人にとってはどうでもいいことなのだろう。
あまりにも頓着が薄い。

モテやすいのかと問われれば緩く首を傾ぎ、

当たり前のように言ってから、
思い出したように付け加える。

だから今更なんだと、
ひどく渇いて感動もない。

インドア派だったのでその辺の感覚は地味に鈍いかも、なんて思ったのは秘密である。
空を飛べるのをうらやましがる様子に苦笑いを返した。

その程度だろ、とばかりの表情である。
問いかけには軽く首を傾げて、

その程度のこと、とばかりに返した後。

もしも細かく分類したら全然違うシロモノなのかもだが、などとのたまう。
何にせよ、深く考えるだけでややこしいのは確かそうである。

動揺する相手を暫し見ていたが、耐えられなくなったのか、吹き出して笑い。

彼女の話には、相手の仕事を思えば、申し訳なさそうに。

放たれた予想外の問いに、驚いたように目を丸くして。

問いの内容よりも、仲間から伝わっていたことに驚いた様子で言葉尻は途切れ。

　新王から依頼されても受けてたかは分からない、と聞いてどこかほっとしたような表情になる。

　くすりと笑った。それから、ふと。

　新王が気に食わなかったか、依頼の羽振りが良かったか、そもそも仕事だからか。その他諸々、内心で考えながら。
　風が吹いた方向に手を振られると、ひゅるりと風が渦巻いた。
　その風が瞬く間にイヌワシの姿を形作る。
　この鳥がウルヘア、らしい。

　コトカの持つ杖の上が定位置なのだろう、そこに留まって挨拶に応えるよう一鳴きした。

　会話の流れが流れのために、契約主の方はちょっと微妙そうな顔をしている。

　言い振りはその内容に反して淡々としていた。
　心配をかけないようにするためか、それとも彼女の中で一定の結論は出ているのか。
　話を変えるように、顔を上げる。

　確認するような。

軽く叩かれた肩と、移動するヴァランタンの背を見比べてそわそわしている。

ヴァランタンが木に向かって走り出すと、二人とも黙ってじっと見つめる。
木を駆け上がって枝にぶら下がると、詰めていた息を吐き出す。

　羨ましそうにナスルは目を細めた。