道は分かれ、明日をも知れぬ旅は続いた。
　されど終わりが見えた時、旅人は顔を見合わせて笑う。
　辿り着く場所は、結局、同じだったのだから。

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　その日、アムルイはいつものように、消耗品の補充のため王都にいた。
　食料や傷薬などを買い込んだ後は、手持ちの貨幣を有事に備えて少し崩しておくのも忘れない。
　この一揆が始まってから、何度となく繰り返してきたことである。
　しかし彼女はこの日、この繰り返しがもうすぐ終わるであろうことを知った。

　新王パラダイス、討たれる。

　それは耳聡い商人を中心に、まことしやかに流れた噂である。
　真偽については、まだ分からない。
　また討ったと言っても、どうやら一時的に退けた程度であるらしい。
　つまり真相がどうあれ、この一揆はまだ終わらないのだろう。
　しかし————

（新王に剣が届くほど、終わりが間近に迫ったってことだよね）

　この劣勢を覆すほどの余力は、もう新王派には残っていないだろう。
　大勢は決した。
　後は”どのように終わらせるか”ということでしかない。

（思えば私は最初、まず届くことを考えたっけ）

　新王の考えが分からない。
　分からないから、分かりに行こうとした。
　自分達の声が届いていないのなら、届けに行こうとした。
　それらのために、新王へ”何故”と問うことが最初の目的だった。

（あれから色々と変わったけど、その気持ち自体はまだ、ここにある）

　だから機会があるならば、それを望もう。
　かつての自分と、これからの自分のために。
　今一度、新王に何故と問いかけることを。

（そうと決まれば、あんまりのんびりしてられないか。
　あっちもあっちで動いてるとは思うけど——アイサに声をかけてみないと）

　すぐに動くことは叶わないだろう。
　しかしそれでも、アムルイは肩で風を切って歩き出した。
　彼女が望む、王道を。

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静かに青年は得物を構えた。